多発性骨髄腫、抗がん薬治療は受けたくない
昨年(2023年)12月に腰痛がきっかけで、総合病院の血液内科で精密検査を受けたところ、多発性骨髄腫と診断されました。抗がん薬治療を勧められましたが、副作用が怖くてやりたくありません。どうしても、抗がん薬治療をしなくてはいけないのでしょうか。現在、貧血で輸血を受けており、3年前に脳出血を起こし、左半身に麻痺が残っています。
(73歳 男性 神奈川県)
A 治療薬の選択肢も多い、抗がん薬治療を始めてみては
日本赤十字社医療センター
血液内科副部長の塚田さん
血液内科副部長の塚田さん
多発性骨髄腫は骨髄(骨の中)で形質細胞が増加して圧迫骨折を起こしたり、貧血を招いたり、血液中のカルシウムが増加したり、形質細胞が作るタンパクによって腎臓の障害を起こす病気です。おそらく腰痛は骨の病変が原因で、貧血も多発性骨髄腫によるものと思われるので、これを改善するためには抗がん薬を用いた治療が必要となります。
確かに半身に麻痺をお持ちの状況で抗がん薬による治療を受けることには不安があると思いますが、現在多発性骨髄腫の治療薬は選択肢も多く、強度を下げることによって副作用の少ない治療を選択することもできるようになっています。治療が始まった後からでも治療薬の変更や中止は可能です。副作用についてもよく説明を聞いたうえで、まずは治療を開始してみてもよいのではないでしょうか。もちろん、最終的な判断をされるのは患者さんご自身です。