多発性骨髄腫が再発。新薬が使えると聞いたが

回答者:薄井 紀子
東京慈恵会医科大学付属第3病院 腫瘍・血液内科診療部長
発行:2011年4月
更新:2013年12月

  

多発性骨髄腫が再発してしまいました。新しい薬剤があるということで、今後はその薬剤を使って治療を始めると言われました。その新しい治療法について詳しく教えてください。

(三重県 男性 71歳)

A 新薬は3剤ある。年齢などを考慮し選択する

多発性骨髄腫の再発治療には今、ベルケイド、サリドマイド、レブラミドという新しい3つの薬剤が使用されます。再発治療に使われる場合、いずれも保険診療で認められています。3剤のうち、どれを最初に使うかはまだ議論の最中です。

ベルケイドは手足に痛みが生じたり、しびれたりする末梢神経障害という少し強い副作用があります。サリドマイドはしびれなどの副作用も多少ありますが、比較的使いやすい薬剤です。ただ催奇性があるため、薬剤を使う手続きが複雑なのが難点です。サリドマイドは、ゆっくり効き目が表れる薬剤で、速効性に欠けるのでデカドロンなど副腎皮質ステロイドホルモンと併用して使われることが多いです。

レブラミドは骨髄異形成症候群(MDS)にも使われる薬剤です。レブラミドにも催奇性がありますが、サリドマイドよりは少なく、また手続きも簡単で使いやすいです。しかし骨髄抑制が強いため、気をつけて使わないと血小板減少や貧血などを引き起こしてしまいます。レブラミドはまだ日本で使えるようになってから日が浅いので副作用の出方や対処をきちんと理解した上で使われるべきです。

これらの3剤は年齢、生活状況、前治療から判断し、使い分けられています。

年齢が比較的若く、移植を行った後に再発した患者さんにはベルケイドが効きやすく、選択される場合が多いです。しかし末梢神経障害が起こりやすいこと、注射による投与で通院が必要なため、高齢の方には飲み薬であるサリドマイドやレブラミドが選択される場合があります。

これらの薬剤は、海外では初回治療でも使われています。ベルケイドは、近く初回治療でも使われるようになる予定です。

催奇性=ある物質が生命の発生において奇形を生じさせる性質や作用があるもの デカドロン=一般名デキサメタゾン

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