髄膜腫の治療法は手術以外にもあるか

回答者:森田 明夫
NTT東日本関東病院 脳神経外科部長
発行:2010年11月
更新:2013年11月

  

最近、顔面がいつもぴりぴりして、痛むようになりました。神経痛かと思いましたが、病院で検査したところ、左目の奥のほうに、髄膜腫ができているとのことです。治療法は手術しかないのでしょうか。

(福島県 女性 30歳)

A 手術だけでなく、放射線を併用することもある

髄膜腫は、脳を包む髄膜にできる腫瘍で、基本的には良性です。髄膜腫の半分くらいは頭蓋底にできます。ご相談者の場合も、おそらく頭蓋底にできた髄膜腫かと思いますが、左目の奥だと、三叉神経のある海綿静脈洞というところに髄膜腫ができている可能性もあります。この場所に腫瘍ができると、顔のしびれとか、痛みとかが出ることがあります。

手術で、三叉神経を圧迫している腫瘍を取れるだけ取ったほうがよいのですが、腫瘍を根こそぎ取り切るのはなかなか難しく、手術で取り除くことで、逆に顔のしびれが強く出てしまうこともあります。そこで、手術と、放射線を局所に集中させるガンマナイフやサイバーナイフを用いた治療法を組み合わせることもあります。手術で安全に摘出できる場所を取り除いてから、ガンマナイフやサイバーナイフで、残った腫瘍と張り付いている視神経以外の神経に放射線を照射します。腫瘍の大きさが3センチ以下なら、ガンマナイフだけで治療をすることもあります。

髄膜腫のできた場所が、海綿静脈洞以外で、腫瘍と三叉神経の境界がはっきりしているときは、圧迫を取り除くという目的で、手術が最もよいかと思います。ただし、単純に手術がよいというのではなくて、手術がやりやすい場所とか、腫瘍の大きさや範囲などを考えて、治療選択をするのがよいでしょう。MRIがきちんと撮れていれば、腫瘍がどこの場所にあるのか、何センチか、どの神経に影響があるのかということはよくわかります。

髄膜腫は、治療がうまくいけば、その後は、普通の生活ができるかと思います。

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