膠芽腫で、余命1年ほどの診断。苦痛なく過ごすには?

回答者:藤巻 高光
埼玉医科大学 医学部脳神経外科学教授
発行:2009年8月
更新:2013年11月

  

28歳の息子がグリオーマ(神経膠腫)と診断されました。いろいろな検査を受けた結果、グレード(悪性度)4の膠芽腫の可能性が高いと言われています。今は時折、ひどい頭痛や吐き気に襲われます。現在、主治医から、手術を受けることを勧められています。さらには、その後、放射線治療と抗がん剤治療を受ける治療計画を提案されています。しかし、これらの治療を受けても、1年ほどの命である可能性が高いと言われています。もしそうであるなら、副作用を含め、苦痛を最小限に抑えてもらい、よい思い出を少しでも多くつくってもらいたいと思っています。息子も同様の考えです。苦痛を最小限に抑え、欲を言えば、1日でも元気に生きられるためには、どのような治療を選択するのがよいでしょうか。

(長野県 女性 54歳)

A 手術と化学放射線療法で苦痛を和らげることができる

膠芽腫であるという前提でお答えします。膠芽腫の治療は、可能であれば、手術を行い、できるだけ腫瘍を取り除き、その後、放射線治療や抗がん剤治療を行うことが標準的です。これらを行うことで、頭痛などの症状が治まり、日々のQOL(生活の質)を高めることが期待できます。

ただし、膠芽腫が脳の深部にあるなど、場所によっては、手術ができないこともあります。その場合は、ほんのわずかしか腫瘍を摘出できないこともあります。

放射線治療の副作用には、脱毛や倦怠感などがあります。しかし、抜けた毛は治療が終われば、再び生えてきますし、倦怠感も、耐えられないほどではありません。

抗がん剤は、近年、テモダール(一般名テモゾロミド)という新しい内服薬が使われています。吐き気や便秘、血液毒性などの副作用が起こりえますが、それほど強くはありません。血液毒性が起こると、白血球(とくにリンパ球)や血小板の数が減少しますが、対応策や予防策もあります。

グリオーマ、とくに膠芽腫は非常に厳しい疾患で、残念ながら、治癒はほとんど望めません。しかし、手術でできるだけ腫瘍を切除し、化学放射線療法を行うことで、苦痛が少なく、QOLの高い生活を長く送れるようになる可能性は高まります。膠芽腫の患者さんで、前記のような治療を行い、5年ほど元気に過ごされた方も、そう多くはありませんがいらっしゃることも記しておきます。

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