脳下垂体腫瘍の場合、どのような手術を行うか

回答者:成田 善孝
国立がん研究センター中央病院 脳神経外科
発行:2007年11月
更新:2013年11月

  

パソコンが見えにくくなり、頭痛が続いたため、気になって総合病院の眼科で診察を受けました。コンピュータによる視野検査や、CT検査などの結果、脳下垂体腫瘍の疑いがあるとの説明を受けました。腫瘍の大きさは2.5センチほどです。自分なりに調べてみると、最近は、内視鏡下手術が行われているとのことです。一般的にはどのような手術が行われるのでしょうか。もう1つ、脳下垂体腫瘍は良性といわれていますが、悪性の可能性はまったくないのでしょうか。脳腫瘍は数多くの種類があるようです。ほかの脳腫瘍と重複しているとか、発展する可能性はないでしょうか。

(鹿児島県 男性 44歳)

A 経蝶形骨洞手術(ハーディの手術)が一般的

脳下垂体は、眉間の奥7センチ前後のところにあります。大きさは女性の小指の先端ほどで、全身のホルモンの働きを支配しています。脳下垂体腫瘍には、ホルモンを分泌するタイプ、ホルモンを分泌しないタイプがあります。乳汁分泌ホルモンを多量に分泌するようなタイプの腫瘍には、手術をしなくても薬でよくなることがあります。ご相談者のように、視力視野障害が出ている場合には、手術で症状が劇的に改善することが多いです。

手術は、経蝶形骨洞手術(ハーディの手術)が一般的です。腫瘍がきわめて大きく周囲に浸潤があるときには開頭手術も行われます。

経蝶形骨洞手術は、特殊な筒を鼻の穴から通すとか、歯茎を切ってから挿入して、蝶形骨洞という空間に入れて、下垂体腫瘍を切除します。腫瘍を切除する際に、狭い空間をよく見るために、顕微鏡または内視鏡を使用して行います。手術自体は顕微鏡を通して行うか、内視鏡を通して行うかの違いがあるだけです。手術は、基本的には筒を通して行うだけで、ほとんど変わりません。

最近では、内視鏡のほうがよく使われます。内視鏡は、顕微鏡よりも深部がよく観察できるという利点があります。

脳下垂体腫瘍は、基本的には良性と思われますが、下垂体にも、がんの転移性脳腫瘍や悪性腫瘍ができることがあります。オシッコがたくさん出続ける尿崩症が見られるようでしたら悪性の可能性もあります。視力障害が進行しているときや、尿崩症がある場合には早めの手術をお勧めします。

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