多発性脳腫瘍の治療法選択について

回答者:成田 善孝
国立がん研究センター中央病院 脳神経外科
発行:2005年7月
更新:2013年11月

  

2004年、CT(コンピュータ断層撮影法)とMRIの検査で、多発性脳腫瘍と診断されました。担当の医師から放射線による治療を勧められました。しかし、放射線による治療を受けるのがよいのかどうか迷っています。どうしたらよいでしょうか。

(大阪府 男性 56歳)

A がんの既往歴があれば全脳照射、なければ検査後に治療を選択

悪性の多発性脳腫瘍で一番多いのは転移性脳腫瘍です。他には悪性リンパ腫や神経膠腫があります。悪性脳腫瘍は麻痺や失語などの症状が急激に進行するので、がんの既往歴がある場合には転移性の脳腫瘍と考えて、脳全体に放射線を照射する全脳照射を行います。

がんの既往歴がない場合には、できるだけ早く通常の血液採取による血液腫瘍マーカーの検査、CT検査(胸、お腹など)、PET(陽電子放出断層撮影法と呼ばれる精密検査)、消化器内視鏡などの検査を行い、脳以外の全身にがんがないとわかった場合には、悪性リンパ腫、神経膠腫の可能性を考えて、腫瘍生検術を行います。生検術による病理診断の結果によって治療方針を決めます。

あなたの場合、放射線による治療を勧められているとのことですから前者に相当するのではないかと思います。また、多発性脳腫瘍の中には転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫、神経膠腫以外に、数少ないですが、脳膿瘍もあります。脳膿瘍は、発熱や炎症を伴うことが多いのが特徴ですが、鑑別が難しいことがあります。

いずれにしても、多発性脳腫瘍にはいくつかの種類があるので、きちんとした診断を受けたうえで、適切な治療を選んでください。

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