グレード2の星細胞腫で、手術後の追加治療は?

回答者:藤巻 高光
埼玉医科大学 医学部脳神経外科学教授
発行:2013年3月
更新:2013年11月

  

びまん性星細胞腫が見つかり手術を受けました。グレード2という比較的穏やかなタイプの腫瘍でしたが、手術で完全には取りきれなかったため、放射線治療と化学療法を行ったほうがいいと言われています。これらの治療はどの程度効果があるのでしょうか。再発するのをどの程度抑えられるのでしょうか。

(新潟県 女性 50歳)

A 放射線治療は必須。照射の時期は要検討

グレード2のびまん性星細胞腫については、手術後に放射線の追加治療を行わない場合では、50%以上が5年以内に再発するので、放射線治療を追加したほうがよいとされています。

ただし、放射線治療をどの時点で行うかについては、専門家の間でも意見がわかれており、結論が出ていません。

具体的には、①手術で腫瘍をとった後すぐに放射線治療を行ったほうがいいという説と、②がんがまた大きくなったときに行ったほうがいという説とがあります。

①については、症状が進行しない時期が長くなりますが、再発後は放射線治療を受けられません。

一方、②では、再発するまでの期間は短くなりますが、そこで放射線治療をすれば、症状が落ち着きます。また、①②の双方では、生存期間は同じです。

①のメリットは、病状が悪化しない再発までの期間が長くなるので、有意義な生活を送ることができるという点です。ただし、放射線治療を受けると、何年もたってから、晩期合併症という症状が生じる場合があります。

②では、再発するまでの期間は短くなるかもしれませんが、その間、放射線治療による晩期合併症の影響を受けずに有意義な生活を受けることができます。

ただし、この晩期合併症の程度は、厳密な心理テストで記憶力がわずかに劣るなど高次脳機能障害が検出されることもありますが、一般的な日常生活では、問題になるような症状はほとんど現れないのが普通です。

このような状況のなか、放射線を先にかけるか、再発まで待つか、世界中でさまざまな議論が行われてきましたが、いまだに結論が出ていないのです。

このように、放射線治療を受ける時期については、ご質問の方の状況に合った判断が必要ですので、主治医とよく相談してみてください。

また、化学療法についてですが、グレード2のびまん性星細胞腫に対する化学療法は、現在のところ、その効果について科学的根拠が定まっていません。ただし、グレード2のびまん性星細胞腫といっても病状によっては、化学療法の併用をすすめる医師もいます。

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