悪性乏突起膠腫。術後化学療法の効果は?
悪性乏突起膠腫がわかり、手術を受けました。手術で腫瘍を取り除き、今後は再発予防のため、術後治療を受けることになりました。自分の病気には、PCV療法という効果的な化学療法があるそうで、放射線治療に加えて、抗がん薬治療も行ったほうがよいと主治医に言われています。この抗がん薬治療はどの程度効果があるものなのでしょうか。教えてください。
(山口県 男性 52歳)
A 放射線治療+化学療法が効果的なタイプがある
悪性乏突起膠腫の治療では、手術に加えて、再発予防のために術後治療を行うことが必要です。
従来の術後治療は放射線治療でしたが、PCV療法という、ナツラン、ロムスチン、オンコビンの3種の抗がん薬による治療が、ある程度効果があるとされてきました。ただし、日本ではロムスチンは認可されていないので、代わりに同じアルキル化薬のニドランを使います。
この化学療法の効果を確かめるために、悪性乏突起膠腫の術後に、「放射線治療単独」と「放射線治療+PCV療法」の2つの治療法の効果を比較する試験が米国と欧州で行われ、結果が2006年に発表されました。その結果、2つの治療法の間には、再発までの期間も、生存期間も差がないとされていたのです。
ところが2012年に、同じ患者さんたちのその後の経過を解析したデータが発表されました。それによると、全体の半分ぐらいの患者さんにおいて、放射線治療に化学療法を加えたほうが予後がよいという結果が出たのです。
その結果を受けて現在は、悪性乏突起膠腫の術後治療については、腫瘍細胞の遺伝子解析を行います。そのうえで、化学療法を加えたほうが良い効果が期待できる患者さんついては、術後の放射線治療に化学療法を加えるのが、基本の考え方となっています。
ご質問の方の場合も、化学療法の効果が期待できるタイプの腫瘍として治療法が提案されたのだと思われます。主治医にお聞きになってはいかがでしょうか。