抗がん薬治療を受けたほうがいいのか
6月に乳房温存手術を受けました。腫瘍の大きさは2.5cm、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、ki-67(35%)、リンパ節転移1個、核グレード3で、ステージ2でした。
7月からホルモン療法を開始しましたが、主治医から抗がん薬使用を提案され悩んでいます。オンコタイプDXの結果を待ってから決めたいのですが、結果が出るのが10月になるとのことです。いまの段階で抗がん薬治療を受けたほうがいいのでしょうか。
私の場合、どのような抗がん薬が処方されるのでしょうか。受けたくない気持ちが強いのですが、再発を避けるためには必要でしょうか。オンコタイプDXの結果を待つまで、放射線治療を行うことは可能でしょうか。4月まで不規則ですが生理はありました。
(50歳 女性 神奈川県)
A 再発リスクを減らすために抗がん薬治療を
乳腺外科医長の上野貴史さん
リンパ節転移があってもオンコタイプDX再発スコアが低い場合、化学療法を省略できるかどうかを調べた 「RxPONDER 試験」では、閉経前の場合は再発リスクスコアが低くても化学療法併用のほうが良いという結果でした。この試験では最終月経から6カ月経過していない場合は、閉経前に分類されています。質問者の場合、閉経前に分類されますから、オンコタイプDXの結果にかかわらず、化学療法を受けられたほうが再発のリスクを減らすためには良いことになります。
その場合どのような抗がん薬が使用されるのかというご質問ですが、決まったものではありませんが、再発スコアが低いようであれば、脱毛のない内服薬のTS-1(一般名S-1)を1年内服するというのも可能と思われます。もし再発スコアが中程度あればTC療法(商品名タキソテール+エンドキサン)を 4サイクル、高ければ アンスラサイクリン系+タキサン系薬剤を施行し、また抗がん薬治療が終了した後に分子標的薬のベージニオ(一般名アベマシクリブ)を2年間、補助療法として内服することも組織グレードが3なら保険適用になるので、考えて良いかも知れません。
それと「オンコタイプDXの結果が出るまで何もしないで待つよりは放射線治療を行うことは可能でしょうか」という質問ですが、それは可能です。全身治療を優先したほうが良いだろうということで、一般的には化学療法が先行して行われますが、慣習的なもので、放射線治療を先にしても治療効果に差はないだろうとされています。