トリプルネガティブ。再発した場合の治療法は?
トリプルネガティブの乳がんの3期です。現在、術後化学療法としてアドリアシン*とエンドキサン*とタキソテール*による術後補助化学療法を受けています。しかし、この治療が終わった後、再発した場合、どのような治療選択が残っているのでしょうか?
(福岡県 女性 32歳)
A ハラヴェン、ナベルビンなどの抗がん剤治療
トリプルネガティブ乳がんとは、乳がんを引き起こし、増殖に関係する主要な3つの因子である、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2が、すべて陰性であるタイプの乳がんのことをいいます。
このタイプの乳がんの治療の薬物療法は、ホルモン剤やHER2陽性に有効とされるハーセプチン*などの分子標的薬が効かないため、抗がん剤での治療が中心となります。
まず、今回のご相談者のような場合、再発した時期によって治療法は変わってきます。術後の補助化学療法が終わってから、1年以上の時間が経過しているのであれば、現在行われている、アドリアシンとエンドキサンとタキソテールを組み合わせた治療を、もう1度行える場合もあります。1年経っていない場合の再発や、前記の抗がん剤治療で効果が期待できない場合は、他の抗がん剤での治療が行われます。具体的にはハラヴェン*、ナベルビン*、ゼローダ*、ジェムザール*などです。おなじタキサン系ですが、アブラキサン*、タキソール*をトライしてみてもよいでしょう。
最近では、トリプルネガティブの乳がんに対しては、DNA合成阻害剤が効きやすいかもしれないということで、パラプラチン*などのプラチナ系製剤の効果が海外で試験されています。また、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP阻害剤)という新しい薬剤もDNA修復機能を阻害することから、トリプルネガティブ乳がんに有効な薬剤として臨床試験中です。臨床試験の結果、有効性が証明されれば将来使用可能となると思われます。
*アドリアシン=一般名ドキソルビシン *エンドキサン=一般名シクロホスファミド *タキソテール=一般名ドセタキセル *ハーセプチン=一般名トラスツズマブ *ハラヴェン=一般名エリブリン *ナベルビン=一般名ビノレルビン *ゼローダ=一般名カペシタビン *ジェムザール=一般名ゲムシタビン塩酸塩 *アブラキサン=一般名パクリタキセル(アルブミン懸濁型) *タキソール=一般名パクリタキセル *パラプラチン=一般名カルボプラチン