間質性肺炎を患っている患者が使える薬はあるでしょうか?

回答者●上野貴史
板橋中央総合病院乳腺外科医長
発行:2019年5月
更新:2019年9月

  

2015年6月、健康診断で乳がんが見つかり、7月に左乳房全摘手術を受けました。リンパ節に転移はなくステージⅡ。ホルモン療法薬ノルバデックス(一般名タモキシフェン)、ゾラデックス(一般名ゴセレリン酢酸塩)の投与を受けました。2018年2月、肺に転移が発覚し、肺の3分の1を切除。病理検査でホルモン受容体陰性に陰転。11月にかねてより患っていた関節リウマチ薬メトトレキサート(MTX)の薬害で間質性肺炎発症。その治療で肺への転移(再発)が発覚しました。

トリプルネガティブ、自己免疫疾患、間質性肺炎を患っている患者が使える抗がん薬はあるでしょうか。それとも重篤な副作用を避けるには緩和ケアしかないのでしょうか。

(56歳 女性 千葉県)

注意さえ怠らなければ使える抗がん薬はある

板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん

リウマチ治療薬メトトレキサートで間質性肺炎が起きてしまったということですが、この薬による間質性肺炎の発症率は10%近くあり、かなり高いものです。すべての薬剤で間質性肺炎の発症リスクはありますが、メトトレキサートは起こしやすい薬剤の1つです。

メトトレキサートで間質性肺炎が一度起きたからといって、通常使う抗がん薬で間質性肺炎が再び起きるとは限りません。

ただ間質性肺炎を一度起こした場合、一般の人より発症するリスクは少し高くなりますが、注意さえ怠らなければ抗がん薬を使用することは充分可能です。

タキサン系抗がん薬のほうがアンスラサイクリン系抗がん薬に較べて少し間質性肺炎の発症率は高いのですが、注意して使用すればそれも問題ありません。

この方が言われるように重篤な副作用が出る場合もないことはないですが、その発症パーセンテージは1~2%ぐらいなので、いたずらに心配する必要はありません。

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