HER2陽性の補助療法でハーセプチンは必ず必要?

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2015年8月
更新:2015年11月

  

ステージⅠ(I)の乳がんで、がんの大きさは1.2cm、乳房温存術を受けました。術後の病理検査の結果、ホルモン受容体陰性、HER2陽性でした。リンパ節転移はありません。今後の補助療法ですが、早期の乳がんなのでハーセプチンは使わずに補助療法をすることはできないでしょうか。ハーセプチンは再発してしまったとき使うようにしたいのですが……。

(40歳 女性 東京都)

HER2陽性であれば ハーセプチンが標準治療

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

乳がんの初期治療は、がんがどのタイプ(サブタイプ)かを診断し、それに応じて治療法が決定されます。ご相談者の場合は、ホルモン受容体陰性、HER2陽性とのことですから「HER2陽性」タイプに分類されます。HER2陽性の乳がんは、乳がん全体の約20%を占めます。このタイプは増殖のスピードが速く、転移や再発を起こしやすいがんと考えられています。

ステージⅠ(I)であっても、腫瘍径が1cmより大きい場合は抗HER2療法のハーセプチン+化学療法の補助療法を行うことが標準治療です。ただし腫瘍径が5mmより小さな場合は無治療でも予後がよいため、補助療法は不要とする意見が主流です。

「再発してから使う」というのは、治癒を目指した考え方ではありません。補助療法で再発を防ぐことが治療の原則です。40歳という年齢も考えて、ハーセプチンの併用が勧められます。

ハーセプチン=一般名トラスツズマブ

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