タキソール+ハーセプチンは高齢の母の正しい治療法?

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2016年6月
更新:2016年9月

  

75歳の母の乳がんについての相談です。乳がんの大きさは約2cm、ホルモン受容体は陽性、HER2陽性、リンパ節転移はありませんでした。術後の化学療法についてですが、タキソール+ハーセプチンの併用療法を提案されています。母はアレルギー性喘息のため、一時的に発作を起こすことがあり、タキソールの副作用の1つにアレルギー症状があると聞いて心配しています。正しい治療法でしょうか。

(45歳 女性 北海道)

高齢者向きの治療法。アレルギー症状が出たらタキソールの変更を

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

ご相談者の乳がんのサブタイプはHER2陽性ですから、術後補助化学療法ではハーセプチンを併用します。一般的には、アドリアシン単剤での治療を行い、その後タキソール+ハーセプチンの併用療法を行いますが、年齢を考慮し、アドリアシンを省略する場合もあります。高齢者の治療としては国際的にも認められている治療法です。

タキソールの副作用として、アレルギー症状が出ることが報告されていますが、これを予防するために、投与時には必ず抗アレルギー薬も併用します。治療を行い、もしタキソールに対するアレルギー症状が出た場合は、タキソテール、アブラキサンなどへの変更を検討します。それが難しいなら、エビデンスはありませんが、ホルモン薬のみの使用や、ゼローダなどを使用する選択を考慮するのが妥当でしょう。

タキソール=一般名パクリタキセル ハーセプチン=一般名トラスツズマブ アドリアシン=一般名塩酸ドキソルビシン タキソテール=一般名ドセタキセル アブラキサン=一般名ナブパクリタキセル ゼローダ=一般名カペシタビン

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