タキソール+ハーセプチンは高齢の母の正しい治療法?
75歳の母の乳がんについての相談です。乳がんの大きさは約2cm、ホルモン受容体は陽性、HER2陽性、リンパ節転移はありませんでした。術後の化学療法についてですが、*タキソール+*ハーセプチンの併用療法を提案されています。母はアレルギー性喘息のため、一時的に発作を起こすことがあり、タキソールの副作用の1つにアレルギー症状があると聞いて心配しています。正しい治療法でしょうか。
(45歳 女性 北海道)
A 高齢者向きの治療法。アレルギー症状が出たらタキソールの変更を
板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん
上野貴史さん
ご相談者の乳がんのサブタイプはHER2陽性ですから、術後補助化学療法ではハーセプチンを併用します。一般的には、*アドリアシン単剤での治療を行い、その後タキソール+ハーセプチンの併用療法を行いますが、年齢を考慮し、アドリアシンを省略する場合もあります。高齢者の治療としては国際的にも認められている治療法です。
タキソールの副作用として、アレルギー症状が出ることが報告されていますが、これを予防するために、投与時には必ず抗アレルギー薬も併用します。治療を行い、もしタキソールに対するアレルギー症状が出た場合は、*タキソテール、*アブラキサンなどへの変更を検討します。それが難しいなら、エビデンスはありませんが、ホルモン薬のみの使用や、*ゼローダなどを使用する選択を考慮するのが妥当でしょう。
*タキソール=一般名パクリタキセル *ハーセプチン=一般名トラスツズマブ *アドリアシン=一般名塩酸ドキソルビシン *タキソテール=一般名ドセタキセル *アブラキサン=一般名ナブパクリタキセル *ゼローダ=一般名カペシタビン