乳がんの放射線治療で、患部を冷やしてもいい?
50歳の女性です。乳がんと診断され、術前化学療法と部分切除術をし、現在は再発予防のために、放射線治療を受け始めたところです。放射線を照射すると日焼けのような症状になると聞いていたのですが、下着がすれただけでヒリヒリした感じがしてとても不快です。症状を緩和するために患部を冷やしたいのですが、治療中は冷やしてはいけないのでしょうか。
(50歳 女性 東京都)
A 照射前は患部を冷やさず、治療中は下着を工夫して
国立がん研究センター東病院の
全田貞幹さん
全田貞幹さん
放射線治療中の皮膚は炎症を起こし、「放射線皮膚炎」という状態になります。軽症の場合は発赤や掻痒感が生じ、少し進むと浸出液が出てくることもあります。
対策としては、まず刺激を避けることです。下着がすれるとありますが、放射線治療中に皮膚に物理的な刺激が加わると放射線皮膚炎が悪化するので、下着の材質やサイズに気を遣うとよいでしょう。具体的には「ワイヤーの入っていないブラジャー」もしくは「綿など低刺激の材質」などです。下着を工夫すれば、不快感はかなり解消されると思います。
また、患部を冷やすことによって掻痒感を抑えることはできますが、あまりお勧めできません。なぜかというと、放射線治療の効果は酸素化(酸素が血液に取り込まれること)と非常に関係しており、冷やすと血管が収縮して患部の酸素化が抑えられてしまう危険性があるからです。
これが実際の治療の効果にも影響しているかどうか証明された臨床試験はないのですが、デメリットになりそうなことは避けたほうが無難です。掻痒感があってつらいときは、寝る前に水で絞ったタオルなどを当てる程度にし、放射線治療の直前に冷やすことはやめましょう。