ホルモン療法で将来、子どもが産めなくなるか心配

回答者●上野貴史
板橋中央総合病院乳腺外科医長
発行:2024年8月
更新:2024年8月

  

30歳乳がん患者の娘の母です。2024年3月に左胸のしこりに気づき、乳がんと診断されました。リンパ節転移もあり、ステージⅢbで左乳房部分切除とリンパ節郭清術を受け、4月から術後化学療法を受けました。今後は放射線療法とホルモン療法を始める予定になっています。現在、娘には決まったパートナーはおりませんが、ホルモン療法の影響で将来、子どもを産めなくならないか心配です。

(62歳 女性 東京都)

ホルモン療法の前に化学療法の心配も

板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん

ホルモン療法の影響を心配されていますが、すでに投与されている化学療法で卵巣機能は影響を受けており、このまま閉経になってしまう可能性もなくはありません。ですから、ホルモン療法云々の前に妊孕性(にんようせい)の対策として、卵子凍結療法などの説明は主治医からなかったのでしょうか。また、娘さんが閉経されてないようなら妊娠することも可能性はなくはありません。しかし、化学療法の影響から回復されたとしても、心配されているホルモン療法の影響も考えなくてはいけません。

妊娠をお望みであればその数カ月前にホルモン療法を中止する必要があります。通常ホルモン療法は5年もしくは10年服用するのが標準療法ですので、期間を短くすれば再発率は高くなります。さらにホルモン療法を中止しても妊娠できるとはかぎりません。娘さんが今後どのようにされたいのか、お2人でよくお話合いされては如何でしょうか。

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