頭皮冷却装置の効果は
今年(2023年)4月に右乳房にがんが見つかり、部分切除しました。病理検査の結果は腫瘍の大きさ1.1cm、センチネルリンパ節への転移はなく、HER2陽性、ホルモン受容体陰性でした。
主治医からは術後化学療法は必要ないと言われましたが、セカンドオピニオンで化学療法を勧められ、アブラキサン(一般名パクリタキセル)とハーセプチン(一般名トラスツズマブ)による治療を受けることにしました。ただ、副作用で頭髪が抜けることには抵抗があります。頭皮冷却装置を使って脱毛抑制をする方法は、抗がん薬の効果に影響はないのでしょうか。また、脱毛抑制の効果はどれくらいあるのでしょうか。
(41歳 女性 東京都)
A 抗がん薬の効果に影響はない
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
頭皮冷却装置を使用すれば確かに脱毛抑制の効果はありますが、この場合は保険適用になりません。自由診療で14~5万円くらい費用がかかります。また脱毛の量が未使用時より3~4割程度減りますが、使用する薬剤により結局はウイッグが必要になることも多く、装置を導入している施設は今のところ少数です。装置使用により再発が増えたという報告はないため、抗がん薬の効果に影響はないと考えられています。
HER2陽性のサブタイプでは、リンパ節転移がなくても0.5cm以上の大きさの場合は、補助化学療法の施行が国際的ガイドラインで推奨されています。ご相談者は41歳とまだ若いのですから、再発予防のために術後化学療法を行うことをお勧めします。