化学療法中 このまま続行でよいか

回答者・吉田和彦
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター副院長
発行:2013年9月
更新:2015年2月

  

妻(50歳)が、S状結腸の腫瘍で約5cm切除しました。肝臓にも転移していました。化学療法のFOLFOX4とアバスチンの併用療法を行いました。直近のCT検査ではがん組織の増大がみられなかったということですが、このままの治療で良いのか、次に進む選択肢があるのではないかと考えてしまいます。また、新たな治療法はあるのでしょうか。

(北海道 男性 55歳)

A 「進行がない」は「効いている」

相談者の奥様は、1次治療としてFOLFOX4とアバスチンを使っているのだと思います。基本的には効果がある間はずっと続けるというのが一般的な考え方です。進行がない、大きくなっていないということは、我々医師は「効いている」と判断します。このまま続けていくのがいいと思います。

仮に、がんが大きくなった場合のことですが、2次治療としてFOLFIRI+アバスチンという組み合わせに替えることが多いと思います。2次治療で効果がなくなった時点で3次治療を考える必要が生じますが、3次治療を判断する上ではKRAS遺伝子の変異が関わってきます。変異のない野生型だった場合には、アービタックスやベクティビックスをFOLFIRIに付加して使用することになります。さらに最近は、4次治療として、スチバーガという新しい分子標的薬を使用するという選択肢もできました。

また、抗がん薬治療により肝転移が切除可能となれば、手術して取り除くことにより、治癒が得られることもあります。

FOLFOX=5-FU(商品名)+ロイコボリン(商品名)+エルプラット(商品名) アバスチン=一般名ベバシズマブ FOLFIRI=5- FU+ロイコボリン+イリノテカン(一般名) アービタックス=一般名セツキシマブ ベクティビックス=一般名パニツブマブ スチバーガ=一般名レゴラフェニブ

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