リザーバーをつけての仕事は可能か

回答者・大矢雅敏
独協医科大学越谷病院外科主任教授
発行:2013年11月
更新:2019年4月

  

FOLFOX療法の選択肢を示されました。しびれなど副作用の説明は聞いたのですが、標準治療であり治療成績が良いので、この治療法に決めるつもりです。ただ気になるのは、46時間をかけて行うという5-FUという抗がん薬の持続点滴です。小さい会社の経営をしているので、なるべく入院日数を短くしたいのですが、先日皮下埋込み型リザーバーを付ければ、通院での外来治療が可能だと知りました。リザーバーを付けたまま通常通り仕事をこなせるでしょうか。また見映えが悪くて外出がしづらいということはないのでしょうか?

(神奈川県 女性 43歳)

注意さえすれば、身動きは制限されない

独協医科大学越谷病院
外科主任教授の大矢雅敏さん

現在多くの病院で、FOLFOX療法を外来で投与しています。外来で治療するには、事前に簡便な手術をして、皮下埋め込み型リザーバーという装置を鎖骨下の皮膚の下に埋め込んでおきます。

リザーバーはポートと言う場合もあります。消しゴム程の大きさの、表面がシリコン製ゴムのタンクで、点滴の針を簡単に刺すことができます。一方、タンクから伸びるカテーテルは、鎖骨下の静脈を通じて中心静脈という太い血管へ挿入されます。ここに抗がん薬が注入されるわけです。

この装置を皮下に埋め込むことによって、点滴のたびに静脈に注射針を刺すという処置がなくなり、苦痛が軽減されます。激しい動きをしない限り、薬が刺入部から漏れ出る心配もありません。

リザーバーを皮下に埋め込むことによって、46時間の持続点滴は、外来通院で可能になります。外来受診時に注入を開始し、2日を経た投与終了後に自宅で点滴針を抜くのも簡単です。

持続点滴中も簡易型の薬液注入器をウェストポーチのような小さなバッグに入れて携行可能なので、自由に行動ができます。肩まで浸からないようにすれば入浴も可能です。

このリザーバーを埋め込む手術は、局所麻酔をして30分間ほどで終了します。通常、1泊の入院か日帰りで行われています。

外来治療をしながら、仕事を続けることが可能かというお尋ねですが、副作用の出方にもよります。軽微なら軽い事務作業程度の仕事は続けていくことは可能です。

日によってはつらい日もあるかもしれませんが、無理をせず休みを入れるなどして臨機応変に対処なさってください。

皮下に埋め込んだリザーバーは服を着ればほとんど目立ちません。薬液注入器の携行によって外出が制限されることはあまりないはずです。

気をつけなければならないのは、感染や静脈血栓症などのリスクです。管理の仕方については、病院側から丁寧な説明があるので、遵守するようにしてください。

リサーバーは再治療の可能性を考慮して、1年以上は埋め込んだままにしておくのが普通です。不要になったときは、また簡便な手術をして取り除きます。

FOLFOX療法=5-FU(一般名フルオロウラシル)+エルプラット(一般名オキサリプラチン)+ロイコボリン(一般名ホリナートカルシウム)

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