直腸がんの3度目の転移 治療をしてよい経過だが、薬の副作用に悩んでいる

回答者・大矢雅敏
獨協医科大学越谷病院外科教授
発行:2014年6月
更新:2014年10月

  

5年前、直腸がんが肝転移しました。術前化学療法で腫瘍が小さくなったので手術。肝転移は全部、切除できました。先に人工肛門を作っていたので、その手術時に人工肛門も戻しました。しかし2年後に肝転移、ラジオ波焼灼療法で治療をして、1年後に腹膜に再発。手術をしました。それ以降は再発がなく2年が経過。現在は再発抑制の目的でゼローダのみを服用しているのですが、副作用の下痢とひどい腹痛とに悩まされています。腹痛はオピオイドを処方されていますが、QOL(生活の質)は良い状態とは言えません。改善する方法はないのでしょうか。

(50歳 男性 熊本県)

薬をやめる選択肢があるかどうかの確認を

獨協医科大学越谷病院外科教授の
大矢雅敏さん

ご相談の内容からして、この経過でもう2年も再発がないのでしたら奇跡的とも言えるのではないでしょうか。現在は術後化学療法の薬の副作用で、QOLは決して良い状態とは言えない、と悲観的になっておられるようですが、もっと前向きになって欲しいと思います。

腹膜再発を手術で取り、その後に再発予防の術後化学療法としてゼローダを服用されて2年経過しているということですが、再発がないのに、ひどい腹痛や下痢があるというのは、やはりゼローダの副作用である可能性があります。

とすると第一に、ゼローダの服用をやめるという選択肢があります。再発予防を目的とする術後化学療法は通常半年で終了します。ゼローダの服用をやめると、下痢や腹痛が止まる可能性は大いにあると思われます。

主治医が、まだ再発がんが残っている可能性が高いと判断して、ゼローダを続けているのなら、なぜゼローダ単剤での治療なのか理由を尋ねてください。再発病巣に対する治療としては、ゼローダの単剤療法は有効性が十分ではありません。

ゼローダにエルプラットを併用するXELOX療法、XELOXに分子標的薬のアバスチンを併せる療法、ゼローダとアバスチンを併用する療法、エルプラットをベースに複数抗がん薬を併せたFOLFOX療法など、いくつも考慮すべき療法があります。イリノテカン(一般名)をベースにした療法もあります。

主治医にゼローダの単剤療法を続ける理由をお尋ねになって、返答があいまいであれば、セカンドオピニオンを取られて、再発としての治療が必要なのかどうかを確認し、必要があるのでしたら、ゼローダ単独療法とは別の治療を行う選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

ゼローダ=一般名カペシタビン エルプラット=一般名オキサリプラチン イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン

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