術後の白血球の低下で 抗がん薬治療が進められない

回答者・大矢雅敏
獨協医科大学越谷病院外科教授
発行:2015年12月
更新:2016年3月

  

今年(2015年)7月に、S状結腸がんのⅣ(IV)期と診断され、切除手術を受けました。術後に腸炎を併発し、ゼローダの内服から始めましたが、白血球の数値が下がっている状態が続き、治療が進められません。肺転移もありますが、食事も食べられるようになり、仕事にも徐々に復帰しています。今後どのように治療を進めていけばよいでしょうか。

(49歳 女性 島根県)

数値にもよるが、抗がん薬の投与量を減らすなどして 治療を行うことは可能

獨協医科大学越谷病院外科教授の
大矢雅敏さん

白血球数が少ない状態が続いているということですが、実際にどの位の数値なのでしょうか。白血球数は4,000~5,000個/μL(以降、単位省略)の人が多いです。ただ、元々の体質や肝硬変があるといった理由で白血球数が3,000前後の人もいて、抗がん薬の投与開始基準に当てはまらないケースもあります。

しかしそのような場合でも、綿密に血液検査をした上で、抗がん薬治療を開始することは可能です。私自身の経験でも、肝硬変のある患者さんで白血球数が3,000前後の方に、FOLFIRI+アバスチンを60%の投与量で行った経験があります。ただ、白血球数が2,000を切っているような状態だと、化学療法を行うことは難しくなります。その場合は、がん専門病院の腫瘍内科の医師にセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。

肺転移があるとのことですが、手術ができるのであれば手術で腫瘍を切除するのがベストですが、もし手術が難しいということであれば、化学療法はぜひとも行いたいところです。ただし、その場合には現在行っているゼローダ単独での治療では効果は不十分と考えられ、エルプラットまたはイリノテカン、アバスチンを併用する治療を行うことをお勧めします。

ゼローダ=一般名カペシタビン FOLFIRI=5-FU+ロイコボリン+イリノテカン アバスチン=一般名ベバシズマブ エルプラット=一般名オキサリプラチン イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン

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