化学療法中に間質性肺炎。今後の治療法は?

回答者・大矢雅敏
獨協医科大学越谷病院外科教授
発行:2015年12月
更新:2016年3月

  

父(70歳)の大腸がんが肺に転移し、これまでもいくつかの抗がん薬治療を受けていましたが、現在行っている化学療法中に間質性肺炎を引き起こし、現在そちらの治療を受けています。主治医から、抗がん薬による治療は中止と言われたのですが、今後どのように治療していけばよいでしょうか。

(41歳 女性 三重県)

がん性リンパ管症の可能性も。まずはきちんとした鑑別が必要

獨協医科大学越谷病院外科教授の
大矢雅敏さん

今後の治療方針としては、間質性肺炎を引き起こしたと考えられる薬剤は使わずに、他の抗がん薬を使って治療を進めていくことになります。もちろん、間質性肺炎が治っていなかったり、呼吸困難の症状を伴うような状況であれば、抗がん薬治療どころではありませんので、まずは間質性肺炎の治療を優先させることになります。

ただ、大腸がんの化学療法中に副作用として間質性肺炎が起こる可能性は低く、もしかしたら、肺転移が増悪し、がん性リンパ管症を引き起こしている可能性があります。咳が出る、呼吸困難になるなど、両者の症状は似ていますが、治療方針は全く異なっていますので、本当に間質性肺炎なのかどうか、がん性リンパ管症ではないのかを、呼吸器の専門家にきちんと鑑別してもらう必要があるでしょう。

もしがん性リンパ管症であれば、原則として抗がん薬による治療が行われます。強力な化学療法を行う必要があり、例えばRAS遺伝子が野生型であれば、FOLFOXまたはFOLFIRIにアービタックスやベクティビックスを併用する治療法、もしRAS遺伝子が変異型であれば、アービタックスやベクティビックスの代わりにアバスチンを使った治療法などが考えられます。

FOLFOX=5-FU+ロイコボリン+エルプラット アービタックス=一般名セツキシマブ ベクティビックス=一般名パニツムマブ

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