手術箇所のリンパ節局所再発。手術は難しいのか
妻(62歳)が3年程前、S状結腸がんで手術しました(ステージⅢ(III)a)。術後抗がん薬治療を行いましたが、最近になって手術をした箇所のリンパ節局所再発と診断されました。主治医からは、抗がん薬治療を行う旨、説明がありましたが、やはり手術は難しいのでしょうか。ちなみに、他の臓器への転移はありません。
(64歳 男性 山形県)
A 手術を見据えて、まずは抗がん薬治療を行うという考え方も
大矢雅敏さん
リンパ節の局所再発ということですが、ひと口にリンパ節と言ってもリンパ節は体全体の様々な場所にあり、再発箇所が切除できる部位にあるかどうかが問題です。もし最初の手術で根治手術がなされた場合、元々の手術部位付近のリンパ節転移を再手術で取り除くことはそう簡単ではありません。手術自体難しい場合が多く、手術することで、例えば術後感染などの合併症が起こる可能性もあり、そうなると再発時に必要な術後の化学療法も行いにくくなります。
再発した箇所を取り除く手術ができたとしても、術後に化学療法を行うことが多いので、この方の場合、切除手術の可能性を見据えて、術前治療としてまずは抗がん薬治療を行うという考え方もあります。化学療法によって再発病巣が小さくなることが期待され、再発病巣が小さくなれば手術で切除する範囲を狭めることが可能になります。
また、この時点で、他臓器への転移はないということですが、手術を行った後の比較的短い期間に、他の部位に転移が出てくるケースもしばしば見られます。したがって、他にも転移がないかどうかを見極めるためにも、術前に化学療法を行いながら経過を観察するという考え方もできます。
一方で、切除手術が難しいとする理由が技術的な側面である場合には、施設によっては切除が可能な場合もありますので、他の施設にセカンドオピニオンを求めることを検討しても良いでしょう。