虫垂のカルチノイド。腹膜播種がある場合、再発しやすいか
2009年9月、盲腸のあたりが痛み、虫垂炎と診断されました。ところが、手術を受けてみると、虫垂の先端に大きさ3センチ前後の悪性カルチノイド(goblet cell carcinoid)*も見つかり、念のため、回腸とリンパ節も切除しました。それらには転移はなかったようですが、カルチノイドの腹膜播種と言われました。腹膜播種を顕微鏡で調べたかどうかは、確認していません。カルチノイドの腹膜播種の場合、悪性で再発しやすいのでしょうか。
(茨城県 男性 67歳)
A 腹膜播種がある場合、再発しやすく、治療も困難
「腹膜播種を顕微鏡で調べたかどうかは確認していない」とのことですから、回答は非常に難しいです。顕微鏡で腹膜播種が確認できたのかどうか、担当医にしっかりと聞いてください。
通常なら、手術時に切除した病巣を用いて、顕微鏡で確認しているはずです。顕微鏡で確認しないで腹膜播種と言うことは、あまりないと思いますが、もし、腹膜播種ではないとしたら、おそらく再発はしないと思います。
腹膜播種だとすれば、再発する可能性もあると考えられます。本当のことを知りたくないという気持ちもわかりますが、はっきりさせることが大切です。
腹膜播種のあるカルチノイドは、非常にまれです。もし、腹膜播種があったとすると、残念ながら、悪性度の高い部類に入ると思います。カルチノイドは基本的に悪性ですが、がんに比べると少ないため、悪性度に関する研究はあまり進んでいません。
病理学的に特殊な検査を行って悪性度を判断する研究も行われていますが、その結果によって治療方針を決めるまでには至っていません。顕微鏡で調べて転移がある場合には悪性度が高いと考えるのが一般的です。
腹膜播種が確認されたとすると、肝臓へ転移したり、腹膜播種という形でまた出てきたりすることもあるでしょう。
一般的には、肝臓に転移するケースが多いです。その場合、手術が可能なこともあります。腹膜播種で再発したときは、根治的な手術はちょっと難しいです。化学療法もあまり効きませんから、かなり厳しい状況と考えられます。
もし、手術の時点で腹膜播種があったとすると、再発の症状や所見が出やすい時期にきています。逆に言えば、現時点で再発していないとしたら、腹膜播種がなかった可能性も高そうです。
*カルチノイド=がんの一種で、消化管粘膜上皮にある内分泌系細胞から発生する。非常に珍しい