悪性カルチノイドとの診断。治療についてアドバイスを

回答者:大矢 雅敏
獨協医科大学越谷病院 外科主任教授
発行:2010年5月
更新:2013年12月

  

2009年9月、虫垂炎になり手術をしたところ、悪性カルチノイドになっていました。カルチノイドは、がんの一種だと聞いています。2009年11月に大腸の一部を切除し、転移を検査しましたが、大腸やリンパ節には異常はなく、腹膜播種と言われました。腹部にゴマを播いたように、1~2ミリ程度のものが多数あるとの診断でした。「腹水などの症状が出るまでは治療の方法がない」と言われています。このまま何もせずに進行するのを待っているのは、精神的につらいです。腹膜播種が見つかってから、何も投薬は受けていません。それがつらくて、いろいろ調べた結果、ミセラピストというβ-グルカンの健康食品を毎日服用しています。2010年2月、CT検査、血液検査、尿検査を受けましたが異常はありませんでした。現在の症状は、下腹部が朝食後にきりきりとしてかなり痛みますが排便をすると楽になります。肛門付近が、ちくちくと引っ張られるような軽い痛みがあります。痛み出すと、連続します。痛みはありませんが、右睾丸が体内に引っ張られるように上に上がってきています。痔の検査をして薬をいただきましたが、治っていません。右睾丸については、泌尿器科で診ていただく予定です。腸のバリューム検査もします。現在、痛み止めのロキソニン(一般名ロキソプロフェンナトリウム)を服用しています。なお、既往歴は中学生の頃、腹膜炎になり、60代で、舌下白板症で舌の裏側を4センチ四方切除しました。治療法についてのアドバイスをお願いします。

(茨城県 男性 67歳)

A 現状では悪性度の低いことに期待して普通の生活を

カルチノイドは、がんとほぼ同じ性質を持っています。

体のいろいろな場所に発生しますが、がんに比べて発生頻度は低く、日本人では、直腸に比較的よくできます。多くのがんは粘膜細胞そのものから発生しますが、カルチノイドは消化管の粘膜上皮にある内分泌系の細胞から発生するのが特徴です。

相談者の場合、もともと虫垂にあったカルチノイドの細胞が、虫垂炎になったときに近くの腹膜に散布された可能性があります。ただ、本当にカルチノイドの腹膜播種だったのかどうか、担当医にきちんと確認しておいてください。

かりにカルチノイドの腹膜播種だとしても、よほど悪性ではない限り、普通のがんで腹膜播種を伴う場合よりも進行はゆっくりしています。カルチノイドの細胞が残っていても病気と共存して症状もなく、20年元気なこともあります。私は30年以上、大腸専門の外科医をしてきましたが、カルチノイドの腹膜播種は経験していません。きわめてまれなケースです。

現状では、悪性度の低いことに期待して、できればカルチノイドのことは忘れて普通の生活をするのが賢明です。

健康食品は、ご自由に使ってください。ただし、抗がん剤と併用するときは主治医に相談してください。下腹部の痛みは少し気になります。CT検査で異常がないとのことですから、手術後の癒着による痛みの可能性が高いと思いますが、カルチノイドの腹膜播種による通過障害の可能性もあります。肛門近くの痛みは、よくわかりません。中学生の頃の腹膜炎の内容や、手術をしたとしたらその影響も考えられます。

カルチノイドが再発した場合、残念ながら効果的な抗がん剤治療や放射線治療はありません。ただし、ブリプラチンまたはランダなど(一般名シスプラチン)とカンプト(一般名イリノテカン)の併用療法を行うことはあります。治療効果はわかっていません。

ただし、これは予防的に行う治療ではなく、あくまでも再発が確認されてから行う治療です。

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