心臓疾患あり。S状結腸がんの手術は安全にできるか

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2008年5月
更新:2013年12月

  

73歳の父のことで相談です。最近、大腸がんが見つかりました。S状結腸がんのステージ3で、3カ所のリンパ節転移があるとの説明を受けました。実は、父は心臓疾患も抱えています。半年ほど前に、大動脈弁狭窄症といわれました。動脈硬化が原因で起こる病気とのことです。薬の服用でコントロールしています。父のような場合、S状結腸がんの手術を安全にできるのでしょうか。どんな手術がベターなのでしょうか。また、手術後の抗がん剤治療は受けてもよいのでしょうか。

(青森県 女性 45歳)

A 治療には問題ない。術後には補助化学療法を

心臓疾患をお持ちとのことですが、薬でうまくコントロールされているようなので、S状結腸がんの治療を受けるうえでは、大きな問題はないと思います。しかし、心臓が手術に耐えられる状態なのかどうか、循環器内科の専門医によく相談してください。

相談者の場合、CTスキャンなどでリンパ節転移が明らかになっています。少なくともステージ3と考えられます。この場合の治療は、がんを持った腸の切除だけでなく、広い範囲のリンパ節を切除する必要があります。

S状結腸がんの手術法には、開腹手術と腹腔鏡手術とがあります。その技術にもよりますが、一般的には開腹手術のほうが、手術時間が短くて、合併症を持つ患者さんに対しては適している場合もあります。

ステージ3の場合、一般的には再発予防のために、補助化学療法を行います。手術でがんをすべて切除しても約17パーセントに再発します。そこで、再発を抑える目的で、補助化学療法を行うのです。補助化学療法の内容は、5-FU(一般名フルオロウラシル)とロイコボリン(一般名ロイコボリンカルシウム)を6カ月間注射する方法が一般的です。また、内服薬のUFT(一般名テガフール・ウラシル)とロイコボリン錠の予防効果が注射薬と同等であることが示されています。副作用などを見ながら、補助化学療法を続けてください。一般的には、心臓疾患を持っていても、補助化学療法は受けられると思います。

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