S状結腸がんとの診断。術後の化学療法に不安

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2008年1月
更新:2014年1月

  

74歳の父のことで相談です。最近、地方の病院でS状結腸がんとの診断を受けました。リンパ節も切除する予定です。手術後は、化学療法も行う予定とのことです。化学療法は副作用もあり、不安です。手術後の化学療法は必ず受けなければいけないのでしょうか。年齢のこともあり、身体に負担のかかる化学療法は避けたいと考えています。アドバイスをお願いします。

(鹿児島県 女性 46歳)

A 再発予防には手術後に補助化学療法を

手術後に化学療法の必要があると判断された訳ですから、手術前のCT検査などでリンパ腺への転移が疑われ、結腸がんの進行度は3期である推定されます。結腸がんの3期の場合、手術しても約17パーセント程度の患者さんに再発が起こりますので、再発を予防する目的で手術後に補助化学療法を行います。

この術後補助化学療法では、5-FUとロイコボリン(一般名ホリナートカルシウム)を6カ月間注射する方法が一般的です。飲み薬で代用される場合もあります。この術後補助化学療法をした場合は、しない場合に比べて、生存率が10~20パーセント改善するといわれており、再発予防効果は明らかです。術後補助化学療法には再発予防というメリットがある一方で、副作用というデメリットもあります。副作用には急性期のものと慢性期のものがあり、患者さんの身体の状態によっても副作用の現れ方は異なります。一般的には、この術後補助化学療法の副作用はそれほど強くはありません。ですから、一度、お受けになってみて、副作用が強くてつらかったりしたら、そのときにやめるというというのも選択肢の1つかと思います。

再発予防効果が認められている治療ですから、副作用が怖いというだけでみすみす生存率がアップするチャンスを逃してしまわないようにしてください。

患者さんの身体の状態は年齢だけでは判断できませんし、74歳という年齢なら受けてみる価値は十分あると思います。もちろん、本人がつらい、化学療法は受けたくない、とのことであれば、受けないという選択肢を選ぶこともできます。

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