大腸がんに対するオキサリプラチンの効果は?

回答者:上野 文昭
大船中央病院 特別顧問
発行:2005年4月
更新:2014年1月

  

大腸とリンパ節の切除を受け、ロイコボリン(一般名ロイコボリンカルシウム)とUFT(一般名テガフール・ウラシル)で治療を受けていましたが、最近、腫瘍マーカーが少しずつ上昇して耐性がついてきたようです。そこで、お聞きしたいのですが、この2剤にカンプト(一般名イリノテカン)を加えれば効果が期待できるのでしょうか。それとも、カンプト単剤で使用したほうがよいのですか。また、最近、効果が高いといわれるエルプラチン、エロキサチン(一般名オキサリプラチン)との混合診療が認められたようですが、こちらの3剤併用についても、ご意見を聞かせてください。

(香川県 女性 58歳)

A 副作用も多く、保険外で使用するほどの効果はない

腫瘍マーカーの上昇の程度にもよりますが、このことだけで、現在の抗がん剤治療が不成功だとは言い切れません。上昇した理由を検討すべきだと思います。大腸がんに対するカンプトの有効性は、まだ確認されていません。

また、ロイコボリンと5-FUによる標準的な併用療法とカンプトを加えた3剤併用療法の効果についても、生存期間などの効果ではあまり差はなく、3剤併用のほうが白血球減少や下痢などの副作用がより多く出現しています。したがって、あなたの場合、カンプトを加えた3剤併用は妥当ではないように思います。

オキサリプラチンを加えた3剤併用と比べる臨床試験も行われています。その結果、3剤併用は再発までの期間延長は認められたが、生存期間に差はありませんでした。この試験結果を踏まえて、米国の診療ガイドライン(04年改訂版)では3期の大腸がんの化学療法の選択肢の1つとして妥当としています。しかし、その効果は劇的なものではなく、白血球減少などの副作用も多く出ます。ですから、現時点では保険外で併用するほどオキサリプラチンに期待を寄せることはできないと思います。

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