3期の上行結腸がん。手術後の抗がん剤治療で最もよいのは?

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2005年7月
更新:2019年7月

  

ひどい腹痛に襲われ、検査を受けたところ、上行結腸がんと診断されました。切除手術は幸い成功し、病期は3期でした。ほかの臓器には転移していませんでしたが、リンパ節には転移していました。今後、TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)での治療を勧められています。しかし、インターネットなどで調べていると、最初にTS-1を使っている症例はあまりないように思います。TS-1には、どれほど効果が期待できるのでしょうか。また、ほかにはどんな抗がん剤が使えるのでしょうか。

(埼玉県 女性 67歳)

A 手術後の補助療法としては、5-FU+ロイコボリンが標準

現在では、3期の大腸がんの場合、手術後に抗がん剤治療を行うのが一般的です。術後に抗がん剤の補助療法を行ったほうが、手術だけを行うより生存率がよいことが明らかになったからです。

ちなみに2期の大腸がんの場合は、術後の補助療法に効果があるというデータは今のところありません。

ご相談者が勧められているTS-1は経口薬で、5-FU系の抗がん剤です。主に胃がんで使われています。大腸がんに対しても効果があるというデータは出ていますが、まだデータが少ないため、大腸がんに関しては世界的な標準薬にはなっていません。

3期の上行結腸がん(大腸がん)で、手術後の補助療法として抗がん剤治療を行う場合、5-FUとロイコボリンの2剤併用療法が一般的です。通常、これを6カ月間行います。

ほかには、アメリカやカナダではゼローダ(一般名カペシタビン)の単剤使用とFOLFOXの3剤併用療法が勧められています。ただしゼローダは、日本では今のところ、乳がんの治療に対してしか承認されていません。また、FOLFOXは3剤使用するので、その分、副作用も強くなります。

TS-1、ゼローダの単剤使用や、FOLFOXというのも選択肢としてはありえますが、総合して考えると、5-FUとロイコボリンの2剤併用療法が現時点では最も妥当な選択だと思います。主治医に提案して、相談されてみたらいかがでしょうか。

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