人工肛門造設。食後に強い腹痛がある

回答者:大矢 雅敏
獨協医科大学越谷病院 外科主任教授
発行:2005年10月
更新:2014年1月

  

最近、肛門から2センチほどのところにがんが見つかりました。他臓器への転移はありません。腹腔鏡手術で直腸を切除し、永久人工肛門を造設しました。しかし、術後2週間目頃から食後に強い腹痛があり、大変不安です。炎症を抑える薬と鎮痛剤を1錠飲むと楽になります。実は、退院前にも同様の強い腹痛があり、腸閉塞が疑われて検査を受けましたが、「問題のない痛みです」といわれました。痛みはほぼ毎日あります。こうした症状は往々にして起こるのでしょうか。

(東京都 男性 58歳)

A 人工肛門からの便通が規則的にあれば、基本的に心配ない

人工肛門からの便通が規則的にあれば、基本的には心配はいりません。ただ、人工肛門の患者さんの中には便が出にくい方もいます。腸管は便を押し出そうとしてぜん動運動を起こします。このとき、ぜん動痛と呼ばれる痛みが5分間ほど一時的に出る場合があります。腹痛が5分間ほどのぜん動痛だとしたら、便が出さえすれば痛みはおさまります。ほとんどの場合、術後1カ月ほどで痛みはなくなります。また、痛みが30分以内の一時的なものなら薬の服用はお勧めできません。腸の動きを止める薬を飲むとかえって便が出にくくなってしまうからです。

痛みが30分以上続く場合には一過性の腸閉塞の可能性があります。食事の摂取はやめて、人工肛門から便やガスが出ることを確認してください。便やガスが出れば、痛みは消えます。便やガスが出なかったり、痛みが続いたり、ひどくなるようなら病院に行くべきです。痛みの持続時間、痛みの強さ、便が出ているかどうかが対応のポイントです。

また、腹腔鏡手術に限らず、人工肛門を造設した場合、数少ないですが人工肛門として持ち上げた腸のまわりに小腸がからんで回転し、ねじれてしまう合併症が起こることがあります。一番心配な合併症です。痛みが強く、持続的で、人工肛門からの便やガスが出ない場合、CT検査でこの合併症の有無を確認する必要があります。

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