70歳父の進行大腸がん。補助化学療法は受けたほうがよいか?

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2010年3月
更新:2014年1月

  

1カ月ほど前に、70歳の父が進行大腸がんで、開腹手術を受けました。S状結腸がんで、リンパ節転移が1個ありました。補助化学療法は受けたほうがよいのでしょうか。年齢のこともあり、補助化学療法を行ったほうがよいのかどうかについて迷っています。副作用が少なくて、有効な補助化学療法を教えてください。

(岩手県 女性 42歳)

A 補助化学療法は5年生存率78パーセントと、再発リスクを下げる

リンパ節転移が1個あるということは、ステージ(病期)3A期だと思います。3A期の場合、手術でがんをすべて切除しても、24.1パーセントに再発します。手術だけの場合、5年生存率は70パーセントほどです。手術後に再発を抑える目的で、補助化学療法を追加すると、5年生存率は77~78パーセントになります。再発リスクを相当下げますから、補助化学療法は受けたほうがよいと思います。

具体的な化学療法としては、主に以下の方法があります。

1つめは、国内でも昨年8月に承認された、5-FU(一般名フルオロウラシル)の持続注射+ロイコボリン(一般名ホリナートカルシウム)+エルプラット(一般名オキサリプラチン)の3剤併用のFOLFOX療法です。術後患者を対象に海外で実施された大規模臨床試験において、6カ月間FOLFOX療法を行った患者群は、6カ月間5-FUとロイコボリンを併用した患者群に比べ、3年生存率が有意に高いという結果が得られており、今後、術後補助化学療法の標準治療として期待されています。

2つめは、前述の5-FUとロイコボリンを6カ月間注射する治療です。

3つめは、内服薬のUFT(一般名テガフール・ウラシル)とロイコボリンを原則として6カ月間服用する方法です。臨床試験では、5-FUとロイコボリンの併用療法とUFTとロイコボリンの併用療法は、同等の治療結果が出ています。日本では、UFTとロイコボリンの併用療法のほうがよく行われています。副作用もそれほど強くなく、ほとんどの方が耐えられます。70歳なら、問題はないと思います。

もう1つ、経口抗がん剤TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)を服用することもあります。ただし、有効性については、はっきりとした結論は得られていません。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート5月 掲載記事更新!