直腸がんが左肺転移の可能性。どんな治療を受けたらよいか

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2009年8月
更新:2014年1月

  

1年前、内視鏡検査で直腸がんと診断されて腹腔鏡下手術を受けました。病理検査の結果、ステージ2Bで、リンパ節への転移はなかったとのことです。退院後は、毎月、CT(コンピューター断層撮影装置)や、エコー検査を受けています。最近、左肺に6ミリほどの小さな影が見つかりました。直腸がんが、左肺に転移した可能性があるようです。しばらく、様子をみるとのことです。直腸がんの左肺への転移は、一般的な肺がんとは違うのでしょうか。もし、左肺への転移だとしたら、どんな治療を受けたほうがよいのでしょうか。

(新潟県 男性 58歳)

A 原発性、転移でも手術が原則。術後の抗がん剤治療は議論中

左肺に見つかった小さな影は、原発性の肺がんと、直腸がんの肺転移の両方の可能性があります。

どちらなのかは、最終的には手術で切除した組織を病理検査で調べないとわかりません。担当の医師が「しばらく様子をみましょう」と言ったのは、現状では、肺の影が小さいこと、その影が1つなのかどうかを見極めるためだと思います。相談者の場合、PET-CT検査を受けると、良悪性や副病変の有無がわかる可能性があります。

原発性の肺がん、直腸がんの肺転移のいずれであっても、手術が原則です。肺転移の場合、手術後に抗がん剤治療をしたほうがよいのかどうかについては、議論があります。直腸がんの肺転移で肺切除手術をした場合、5年生存率は30~60パーセントです。さまざまな理由で、肺切除手術が行われなかった症例の5年生存率は6.2パーセントだったという報告もあります。

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