直腸がん手術後、肝転移し、今度は肺転移。適切な治療法は?

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2008年1月
更新:2014年1月

  

直腸がんの手術を受けた1年後に、肝臓に転移が発見されました。肝切除をしてもらいました。最近、今度は、肺転移が見つかりました。肝切除をしてから半年ほどしかたっていません。担当医から「手術で切除するのは難しい」との説明を受けました。手術以外にどんな治療法があるのでしょうか。

(岩手県 男性 56歳)

A 全身化学療法で延命効果が期待できる

担当医から「手術で切除するのは難しい」との説明があったとのことですから、肺転移は両側の肺にあるか、もしくは数が多いと予想されます。手術で取り切れない場合、全身化学療法を行います。主な内容は以下です。

1つ目は、FOLFOX療法です。持続静脈投与による5-FU(一般名フルオロウラシル)とアイソボリン(一般名レボホリナート)、エルプラット(一般名オキサリプラチン)の3剤併用です。

2つ目は、FOLFIRI療法です。持続静脈投与による5-FUとアイソボリン、カンプトまたはトポテシン(一般名イリノテカン)の3剤を併用します。

3つ目は、IFL療法です。これは、注射(短時間静脈投与)による5-FU、アイソボリン、カンプトまたはトポテシンの3剤併用です。

基本的にはこの3つのうちから選びます。最近は、FOLFOX療法かFOLFIRI療法のいずれかを行うことが多いです。FOLFOX療法をやってみて効果がないようなら、FOLFIRI療法に切り替えます。逆に、FOLFIRI療法を行っても効果がないようならFOLFOX療法にチェンジしてみます。

これらの治療を行った場合の平均生存期間は20~30カ月間になります。無治療の場合の平均生存期間は6カ月間ですから、明らかに延命効果が期待できます。

さらに、最近では、FOLFOX療法や、FOLFIRI療法を試みて、十分な効果が得られなかった場合には、アバスチン(一般名べバシズマブ)を加えるという選択肢も加わり、更なる延命効果が期待できるようになりました。

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