結腸がんが肝臓や肺、骨に転移。延命できる治療法は?

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2007年7月
更新:2014年1月

  

手術を受けて、結腸がんを摘出してもらいました。肝転移があり、さらには肝臓から肺へも転移していました。その後、標準的なFOLFIRIやTS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)などの治療を受け、がんは一時小さくなったのですが、結局は骨にまで転移してしまいました。何もしなければ、4~5カ月の命と言われています。延命できる治療法はないでしょうか。新しい未承認の抗がん剤、たとえばアバスチンやアービタックスなどの効果の可能性はどうでしょうか。

(福岡県 男性 63歳)

A FOLFOXと鎮痛剤、放射線治療などで対応

文面を拝読すると、エルプラット(一般名オキサリプラチン)はまだお使いになっていないようです。全身の状態がよければ、アバスチン(一般名ベバシズマブ)やアービタックス(一般名セツキシマブ)を使う前に、エルプラットを含むFOLFOXの治療をお受けになるのがよいと思います。

FOLFOXとは、5-FU(一般名フルオロウラシル)の持続注入+アイソボリン(一般名レボホリナートカルシウム)+エルプラットの3剤併用療法のことです。FOLFOXは、保険適用となります。アバスチンやアービタックスは新しく開発された分子標的薬ですが、残念ながら「夢の薬」ではありません。従来の抗がん剤のような副作用はありませんが、その一方で、特有の副作用がありますし、効果もそれほど大きく期待できません。

また現時点では、これらの薬剤には保険が適用されませんから、自費で個人輸入して使うか、臨床試験を行っている医療施設で受けるしかない状況です。

いずれにしても、アバスチンやアービタックスはFOLFOXの効果が認められない場合の選択肢といえます。「痛み」に関しては何も書かれていませんが、もし苦痛がおありでしたら、モルヒネをはじめとした医療用麻薬などによる鎮痛を十分に受けて下さい。苦痛の緩和によって延命がもたらされることは十分ありえます。

骨転移に関しては、部位などによっては短期の放射線治療が適応になることがあります。たとえば、背中の骨にがんが転移しているのであれば、放射線治療を行うことで、痛みをコントロールすることが期待できます。

FOLFOX、鎮痛薬、必要によって放射線治療などをお受けになって、痛みなどの症状を緩和しながら、延命をめざすのがよいと思います。

FOLFIRI=5-FU+アイソボリン+トポテシン/カンプト
アバスチンは、2007年4月18 日に厚生労働省より「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の治療薬として、製造販売承認を取得

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