直腸がんで肝転移。その後、直腸に再発。手術は受けたくないが…

回答者:吉田 和彦
東京慈恵会医科大学青戸病院 副院長
発行:2005年7月
更新:2014年2月

  

2年前に、直腸がんと診断され、切除手術を受けました。がんは肛門から5センチほどの場所にありましたが、人工肛門にしないで温存することができました。手術の1年後に肝臓に2カ所の転移が見つかり、肝臓の部分切除手術を受けました。しかしその後、1回目の手術をした直腸の部分に局所再発しました。主治医には「手術を勧めるが、抗がん剤か放射線での治療も選択可能」と言われました。「今度、手術を行えば、人工肛門になるだろう」とも言われています。手術後の生活のことを考えると、抗がん剤か放射線での治療を選びたいのですが、治癒するには手術を受けたほうがよいのでしょうか。

(大阪府 男性 56歳)

A 切除手術が原則。術後には補助療法を行う

再発直腸がんの治療法は、切除が可能な場合は切除手術を行うのが原則です。この切除手術を行えば、多くの場合、人工肛門になりますが、今はケアも充実しているので心配することはあまりありません。切除手術が成功すれば、もう1度、根治する可能性が出てきます。

再発したがんが大きいなど、切除が難しい場合は、先に抗がん剤治療、あるいは抗がん剤に放射線を加えた治療を行って、それから手術をする方法もあります。この場合の抗がん剤は、一般的に5-FU(一般名フルオロウラシル)をベースにした化学療法を行います。

手術後には、抗がん剤治療を約6カ月行うのが標準的な治療法です。アメリカの場合、抗がん剤の組み合わせは第1選択から第3選択まで決まっています。

第1選択では、FOLFOX、FOLFIRI、IFLのいずれかが行われます。日本でも、これに準じて行われています。

ただこの場合、ご相談者がこれまでにどんな抗がん剤治療を受けたかが問題になります。もし第1選択の中で使ったことのある抗がん剤があるのなら、第1選択で用いられていない抗がん剤を含んだ第2選択や第3選択の抗がん剤の組み合わせを選んだがほうがよいでしょう。再発しているということは、その抗がん剤にがんが耐性(抵抗性)を持っていることを意味するからです。 たとえば、すでに第1選択でFOLFOXが用いられている場合には、第2選択としてカンプト(この場合は単剤使用)が推奨されます。

FOLFOX=5-FU(一般名フルオロウラシル)の持続注入+ロイコボリン(一般名ロイコボリンカルシウム)+エロキサチン(一般名オキサリプラチン)の併用療法
FOLFIRI=5-FUの持続注入+ロイコボリン+カンプト(一般名イリノテカン)
IFL=5-FUの急速注入+ロイコボリン+カンプト

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