閉鎖した肛門に痛みが。抗がん剤と放射線、どちらがよいのか?

回答者:岩瀬 哲
キャンサーネットジャパン 科学ディレクター
発行:2004年10月
更新:2014年2月

  

67歳の父のことで相談します。1年前に直腸がんと診断され、手術を受け、人工肛門になりました。その後退院し、検査の結果、転移はないということでしたが、半年ほど前から手術で閉鎖した元の肛門部分が痛み出しました。痛み止めとしてオキシコンチンを飲んでいますが、吐き気が強いため、入院して抗がん剤か放射線のいずれかで治療すると言われました。この場合、どちらが有効なのでしょうか。

(岩手県 女性 36歳)

A 治療の目的を主治医に確認すること。鎮痛剤は併用してよい

文面から推測するに、おそらくがんが再発したのだと思います。

抗がん剤治療か放射線治療かで迷っていらっしゃいますが、最も大切なことは「治療の目的」です。痛みを取り除き、がんのある部分をコントロールするのが主な目的なら、抗がん剤より放射線治療のほうが適切です。がんはいわば全身病ですから、治療の目的が全身の状態をよくすることにあるのなら、抗がん剤治療を選択すべきでしょう。

ですから、まず主治医に治療目的を具体的に聞いてみて下さい。それから、もちろんご本人がどういった治療を望んでいるかも非常に大切なことです。

ちなみに大腸がんの場合、抗がん剤と放射線を併用する治療法は確立していません。ですから併用療法は、この方の場合、勧められません。

放射線か抗がん剤かという論点とは別に、当座の痛みには鎮痛剤を服用し続けて差し支えありません。

オキシコンチン(一般名 塩酸オキシコドン徐放剤)はMSコンチンなどのモルヒネとともに強オピオイドに属し、最も強い鎮痛剤の1つです。日本では、強オピオイドはモルヒネが一般的ですが、オキシコンチンも徐々に処方されるようになってきました。

モルヒネは腎臓の悪い人には投与しづらい薬ですが、オキシコンチンは腎臓の悪い人にも安心して投与できます。また、モルヒネは10ミリグラム単位の投与になりますが、オキシコンチンは5ミリグラム単位で投与できるので、早い段階から投与できるし、少ない量で増量していくことも可能です。

オキシコンチンの副作用として吐き気を訴えられていますが、ノバミン(一般名プロクロルペラジン)などを服用することで、吐き気を抑えることができます。

オキシコンチンやモルヒネで当座の痛みを和らげ、目的に則し、抗がん剤治療か放射線治療を選んで、治療を受けられるとよいでしょう。

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