大腸がんの肝転移。抗がん剤の投与方法は?

回答者:向山 雄人
東京都保健医療公社豊島病院 緩和ケア科医長
発行:2003年11月
更新:2013年12月

  

大腸がん(横行結腸がん)の3b期で、2年前にリンパ節郭清を含む手術を受けました。術後にフルオロウラシル(5-FU)とホリナートカルシウム(ロイコボリン、ユーゼル)の抗がん剤治療を受けましたが、今年に入り肝臓に転移(2個)が見つかりました。肝臓に直接抗がん剤を入れる方法と、点滴で全身に対して投与するやり方があるということですが、どちらが良いのでしょうか?

(愛知県 男性 65歳)

A 生存期間を延ばすかという点では、両者の間に差は認められない

肝臓のがん細胞に栄養を運んでいる動脈に、直接抗がん剤を注入する肝動注という方法は、全身に対する抗がん剤治療に比べて、腫瘍を小さくする効果が高く、好中球減少などの重い副作用も少ないことが分かっています。しかし、生存期間を延ばすかという点では、両者の間に差は認められていません。

また、転移が肝臓のみで、しかも2箇所に限られているのでしたら、手術を検討してもよいでしょう。ただし、肝臓手術の治療成績には施設格差がありますので、病院を選ぶ際の十分な検討が必要です。手術後は、経過観察で済むことも考えられます。

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