S状結腸がん手術後、肝転移。開腹手術以外の治療法は?

回答者:椎名 秀一朗
東京大学医学部付属病院 消化器内科講師
発行:2008年2月
更新:2017年9月

  

78歳の父について相談です。1年前に、S状結腸がんで外科手術を受けました。経過は順調でしたが、最近、肝転移が見つかりました。肝転移は1個で、大きさは直径4センチほどとのことです。すでに1度、開腹手術を受けています。高齢でもあり、できるだけ身体に負担のかからない治療を受けさせてあげたいと思います。開腹手術以外の治療法について、アドバイスをしてください。

(兵庫県 50歳 女性)

A ラジオ波焼灼術なら治癒の可能性も

やはりラジオ波焼灼術が身体に負担のかからない治療法として効果的です。4センチほどの病変なら電極を4カ所に入れ分ける重ね焼きという方法を行います。この方法なら腫瘍全体を1回で焼き切ることも可能です。治療前後のCT検査の画像を比べて、1セッションの焼灼では足りないようなら、もう1セッション、ラジオ波焼灼術を追加します。4センチ程度の病変なら、経験の豊富な施設では確実に治せると思います。

当科では、大腸がんの肝転移96名にラジオ波焼灼術を行っています。平均年齢は65歳で80歳以上が8名います。病変の大きさは平均3.3センチで、病変数は平均4個です。また、全体の73パーセントが前治療を受けていました。前治療の内容は、全身化学療法が45名、肝切除24名、動注療法19名などです。最初に再発が発見されて、治療を受けるよりも条件は悪いわけです。この96名の中には、切除不能転移17名(切除可能肺転移2名は根治的治療群とした)、腹膜播種7名、リンパ節転移7名、原発巣の残存・局所再発4名、骨転移2名、卵巣転移1名、脾臓転移1名、副腎転移1名、肝切除後の多発再発6名、切除不能の多発肝転移8名(重複あり)などにより切除不能、根治的治療不能と考えられた症例が43名含まれています。

全体の5年生存率は41パーセントですが、この43名を除いた53名では、5年生存率は52パーセントで、肝切除の40~50パーセントよりも良好な治療成績と考えられます。この53名の中にも、80歳以上の症例が6名含まれています。ですから、78歳という年齢でしたら、施設を選べばラジオ波焼灼術を行 ったほうが、生存率が高くなる可能性があります。

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