副作用の強いFOLFOX療法に不安
3B期の大腸がんと診断され、手術をしました。再発の可能性が高いということで、再発予防のためにFOLFOX療法という化学療法を行うことになりました。その治療では、手足のしびれなどの副作用を伴うといわれました。しかし、職業が美容師なので、手先を使う仕事上、しびれなどの症状が出ることに不安を感じています。他に選択できる治療法はないのでしょうか?
(埼玉県 女性 51歳)
A 副作用は強いが、効果も高い。まずはFOLFOX療法を
大腸がん手術後のFOLFOX療法というのは、再発を抑えるための化学療法です。
FOLFOX療法は5-FU*とロイコボリン*、エルプラット*という抗がん剤を組み合わせて行う治療で、このエルプラットという薬剤に手足がしびれるといった末梢神経障害の副作用があります。エルプラットの治療を受けたほとんどの患者さんに現れると認識しておいてください。
FOLFOX療法は基本的には12コース行います。末梢神経障害はだいたい6、7コース目から出てくるようです。
しびれの程度にはかなり個人差があります。しびれがありながらもずっと治療を続けられる患者さんもいれば、歩行が難しくなるほど強く出る患者さんもいます。
日常生活に大きく影響が出るようでしたら、FOLFOX療法を中止して、末梢神経障害のでない経口薬に替えることもできますので主治医とよく相談してください。
ご相談者の場合、3B期ということで、ガイドラインによりますと5年生存率は56パーセントと、再発率が低いとはいえません。標準的にはFOLFOX療法による術後補助化学療法が妥当であると思います。
ご職業が美容師でいらっしゃるとのことで、経口薬に替えて治療を行うこともできます。ただ、その場合の再発を抑えることができる患者さんは約2割と、FOLFOX療法の約3割と比べて低くなります。ですので、最初にFOLFOX療法を行ってみて、しびれの症状が出てきた時点で経口薬に替えるという方法もすすめられます。
FOLFOX療法は副作用も強いのですが、その分効果も高いということを知っておいてください。
現在、末梢神経障害に対する有効な治療方法や対策はありませんが、牛車腎気丸という漢方薬をFOLFOX療法の開始とともに投与する臨床試験も始まっています。
また、冷たいものに触れることで末梢神経障害の症状が誘発されたり悪化したりする場合があります。FOLFOX療法中はなるべく冷たいものに触らないようにしましょう。
*5-FU=一般名フルオロウラシル *ロイコボリン=一般名ホリナートカルシウム *エルプラット=一般名オキサリプラチン