肝臓に転移。今後の治療方法が知りたい

回答者:大矢 雅敏
獨協医科大学越谷病院 第1外科主任教授
発行:2011年10月
更新:2014年1月

  

3年前に、3期の大腸がんになり、手術と化学療法を行いました。それが最近、肝臓に転移したことがわかりました。今後、どのような治療を行っていけばよいのでしょうか。最新の抗がん剤治療のほか、有効な治療法を教えてください。

(新潟県 女性 71歳)

A 基本は手術。できない場合でも化学療法で手術を目指す

大腸がんの肝転移の場合、手術で肝転移を切除することが第1選択の治療になります。

定期的に検査を行っていれば、多くの場合、切除は可能であることが多いです。ただし、転移した場所によっては手術ができないこともあります。また、肝臓の機能が悪い患者さんも手術ができないこともあります。

転移した場所が手術をするのに難しい場合や、ほかの臓器にも転移がある場合は化学療法を行います。

その際はFOLFOX療法、あるいはFOLFIRI療法にアバスチンやアービタックス、ベクティビックスなどの分子標的薬を併用する治療を行います。

これらの分子標的薬は手術ができない場合や進行した大腸がんに有効とされています。

化学療法によって、転移したがんが縮小し、手術が可能になれば手術を行います。

手術で肝転移を切除できた場合でも、再発率が高いと判断された場合は、最近では術後にFOLFOX療法を行うことが多くなっています。

なお、今年度中には、手術後の補助化学療法として、エルプラットとゼローダを組み合わせたXELOX療法が保険適用になる予定です。

FOLFOX療法では、ポートといって点滴によって静脈に抗がん剤を48時間連続で送り込む必要がありますが、XELOX療法にはその必要はありません。

ただその代わり、毎日経口薬を飲む必要があります。効果はほぼ同じなので、患者さんのライフスタイルに合せた治療法が選択できます。

化学療法をはじめとする大腸がんの治療法は増えてきていますので、自分自身に合った治療法の選択も可能になってきました。諦めずに治療を続けてください。

FOLFIRI=5-FU(一般名フルオロウラシル)+ロイコボリン(一般名ホリナートカルシウム)+イリノテカン(商品名カンプト、トポテシン) アバスチン=一般名ベバシズマブ アービタックス=一般名セツキシマブ ベクティビックス=一般名パニツムマブ  エルプラット=一般名オキサリプラチン ゼローダ=一般名カペシタビン

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