中咽頭がん。重粒子線治療は可能か
中咽頭がんと診断されました。頸部のリンパ節にも転移があり、ステージはⅢ(III)です。手術と放射線治療を提案されていますが、ネット検索したところ、中咽頭がんは重粒子線治療も対象になるとありました。手術をせず、重粒子線治療を受けることは可能でしょうか。
(63歳 男性 三重県)
A 重粒子線治療は 扁平上皮がんには有効ではない
亀田総合病院頭頸部外科部長の
岸本誠司さん
岸本誠司さん
中咽頭は、舌根、軟口蓋(いわゆる「のどちんこ」と上顎の軟らかい部分)、扁桃腺、後壁(口の奥の突き当たりの部分)の4つに分類され、主に扁平上皮がんが生じます。
重粒子線治療は、現状では先端医療と位置付けられており、治療にかかる約300万円は患者さん負担になります(近々、骨のがんについては保険適用となる予定です)。
重粒子線は骨のがんなどある種の腫瘍には非常に効果があるのですが、扁平上皮がんに対する治療効果は一般的な放射線とほとんど変わりません。また、首などへの転移があるとなると、その範囲まで広く重粒子線を照射することはできません。むしろ、一般的な放射線を広く照射するほうが良いと思われます。