舌がん手術後の発音への影響は
35歳の娘が舌の縁にしこりのようなものができ、ステージⅠ(I)の舌がんと診断されました。手術を勧められていますが、娘は発音がうまくできなくなることを心配しています。どの程度影響するのでしょうか。リハビリをすれば、元のようにはっきりと発音することができるようになりますか。また、まだ若いので今後の再発なども気がかりです。
(66歳 女性 栃木県)
A 言語聴覚士に指導を。言葉は回復できる
亀田総合病院頭頸部外科部長の
岸本誠司さん
岸本誠司さん
ステージⅠ(I)なら腫瘍はまだ小さく、大きな切除はしないので、ほとんどの場合残った舌がきちんと働いてくれるため、日常生活には余り影響はありません。多少、舌足らずなしゃべり方になるかもしれませんが、周囲に気づかれないほどでしょう。
もし、日常生活に影響を及ぼすほど発音がうまくできなくなるようであれば、主治医を通じて言語聴覚士に相談することも1つの方法です。言語聴覚士は言葉のリハビリの専門家ですので、適切な指導を受けることができます。ただし、言葉を職業にしている方々、例えば英語の先生、アナウンサーなどは、手術前とまったく同じように発音することが難しくなる可能性がありますので、治療法の選択に工夫が必要です。
舌がんは20~30歳代の若い人にも発症します。手術を受けた後も再発の可能性がないとは言えないので、医療機関に定期的にかかると同時に、自分でも注意する必要があります。舌を鏡で見たり触って異常がないかどうかチェックするほか、舌のがんはときに首のリンパ節に転移するので、首を触って硬いしこりがないかどうかもチェックしてください。また、舌がんの原因の多くはとがった歯による刺激や喫煙です。治療後は歯の手入れや禁煙も大切です。少なくとも5年間は注意が必要です。
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