舌がん手術後の後遺症が心配
舌がんのステージⅢ(III)で舌前方半切除、頸部リンパ節切除をした後、腹直筋皮弁による再建舌移植をする予定です。術後の後遺症が不安です。舌がんの手術をした方から、「退院後も顎の下から頬の周りの引きつれ感や、肩から耳のあたりのしびれ感が抜けず、腕も肩から上にあがらない。痛みで寝返りもできなかった」と聞きました。術後の痛みの対処法はありますか。また、再建後のリハビリについても、どのように行うのか教えください。
(65歳 女性 岐阜県)
A 後遺症には個人差。ペインクリニックも
岸本誠司さん
術後の後遺症は、とても大きな個人差があります。つらさを感じない人もいれば、いつまでも痛みを強く感じる人もいます。それは、傷の痛みによるだけのものではありません。
頸部のリンパ節を切除した場合は、神経が同時に損傷を受けてしまい、しびれや痛み、肩関節の動きにくさが起こるからです。従って術後の早期からリハビリに取り組むことが勧められます。
痛みが強く、通常の鎮痛薬でよくならないのならば、ペインクリニック科の受診も検討されます。医療機関によっては、ペインクリニックやリハビリ科(理学療法部)などとチームを作って患者さんの後遺症に対応していますので、気になることがあったら、主治医や看護師などを通じて、いろいろな専門家に相談してもらうのも良いでしょう。
よく退院後に首や肩の痛みやこりをとろうと、整骨院や整体院に行く方がいますが、安易にかからないようにしなければなりません。手術後には触ってはいけないところもたくさんありますし、大きな血管を指圧してしまい、別の症状を引き起こしてしまう恐れもあります。もし受けるのであれば、がんの治療をしている医療機関のリハビリ科で指導を受け、治療の状況をきちんと伝えると良いでしょう。
舌を再建した後の言葉や摂食のリハビリについては、言語聴覚士が担当します。頭頸部がんは、様々な部門にまたがる治療・ケアが必要なので、それぞれの専門家が対応します。
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