間質性肺炎でもう抗がん薬治療はできないのか
今年(2023年)1月に小細胞肺がんステージⅠと言われ手術しました。しかし、3日後に間質性肺炎を起し、人工呼吸器挿管を2度、気管切開を行い、ステロイドパルス療法と免疫抑制剤で何とか一命を取り留めました。その後、間質性肺炎の治療を続けていました。
ところが5月の検査で、がんの再発・転移が見つかり、余命3カ月と宣告されました。6月から抗がん薬治療(カルボプラチン+エトポシド)を始めて、7月に2クール目を終えた時点で薬の副作用で間質性肺炎が悪化し、ステロイドパルス療法を行い、現在は落ち着いています。主治医からは「抗がん薬の副作用で間質性肺炎が起きたと思われるので、もう抗がん薬治療はできない」と言われました。本当にもう治療法はないのでしょうか。
(67歳 男性 奈良県)
A 最も優先したいことは何かを考えて
日本医科大学呼吸ケアクリニック
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん
肺がんに間質性肺炎を合併していると、治療に伴う間質性肺炎の急性増悪を起こすことがあります。間質性肺炎も命に関わる病気ですから、肺がん治療法の選択は慎重に行うことが大切です。間質性肺炎を合併した小細胞肺がんの2次治療としては、ハイカムチン(一般名ノギテカン)などがあります。
しかし、ご相談者の場合は手術後も初回化学療法の後も間質性肺炎の急性増悪を起こしており、2次治療においてもリスクが高いと考えられます。2次治療の効果はそれほど高いものではないので、ご相談者の場合はリスクのほうが、期待される効果を上回る状態だと思います。主治医はそのように考えたのでしょう。
もし、残された時間があまり長くないとしたら、最も優先したいことは何でしょうか? ご家族ともお話しいただき、貴重な時間を大切にお過ごしいただきたいと思います。