肺炎のため、化学療法を中断。よい治療法はないか

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
発行:2010年8月
更新:2013年12月

  

1年ほど前、病院の検査で肺がんが見つかりました。小細胞肺がんで、リンパ節転移があると言われました。入院して化学療法と放射線療法の併用療法を受けました。しかし、1回目の化学療法のあと、肺炎を起こし、治療を中断せざるをえませんでした。退院後、病院に通って経過観察を受けていますが、治療は何もしていません。何か効果的な治療法はないでしょうか。

(岐阜県 男性 71歳)

A 肺炎のリスクはあるが、化学療法の継続は可能

ご相談者のような場合、一般的にはシスプラチンとエトポシド(一般名)の2剤による化学療法と、放射線療法の併用療法を行います。肺炎は、抗がん剤による薬剤性のものと、放射線によるものとが考えられます。ただ、放射線による肺炎は、治療開始後1カ月以降に起こることが多いとされていますので、少し早いような気がします。

どの抗がん剤を使っても、薬剤性肺炎を起こすリスクが1~2パーセントほどありますので、薬剤性肺炎の可能性があります。もし、抗がん剤治療を受けられるとすると、薬の効果でがんを叩く(小さくする)ことができるかもしれませんが、そのために、また肺炎を起こすリスクが相応の確率であります。治療を受けられるとき、そのリスクを承知されたうえでなければ、医師は抗がん剤を使いにくいでしょう。抗がん剤の選択については、すでにエトポシドを使われているとすれば、イリノテカン(一般名)や、カルセド(一般名アムルビシン)という薬が候補になるでしょう。

放射線による肺炎のときは、放射線治療をどの程度、いつまで治療したかによって変わります。例えば、放射線の影響は、少なくとも2~3カ月残ると言われていますので、それ以降に抗がん剤治療を行うのが一般的です。ただし、抗がん剤を使うことで、また肺炎が悪化する方もいらっしゃいます。治療の追加には、そのリスクを了解されておく必要があるでしょう。

おそらく、主治医は肺炎が治りきっていないことか、肺炎を起こすリスクを考えて、治療を見合わせているのでしょう。ご相談者が「リスクを十分理解しているので治療を受けたい」とおっしゃれば、治療は受けられると思いますので、主治医と十分ご相談ください。

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