国際分類C期の網膜芽細胞腫と診断。眼球を温存できる治療法は?

回答者:金子 明博
横浜市立大学付属病院 眼科医師
発行:2012年11月
更新:2013年12月

  

1歳になる息子の左目が黄緑色をしているのに気づき、すぐ病院に行ったところ、国際分類C期の網膜芽細胞腫と診断されました。主治医からは、症状が進んでいるため、眼球を摘出することを勧められています。しかし、片目が無くなると、今後の生活にいろいろと支障をきたすことが予測されます。そのため、どうにかしてこの子の眼を摘出しない方法はないか、考えています。何か良い方法はないのでしょうか?

(愛知県 女性 28歳)

A 腫瘍が眼の中で小さければ、摘出せずに化学療法を

腫瘍が眼の外に突出していたり、眼の中が腫瘍で埋まっていたり、緑内障が発生している場合は、速やかな摘出手術を行うことをお勧めします。

その他の場合は、眼球をすぐに摘出するのではなく、全身化学療法や局所化学療法を試みて、がんの縮小具合を確認してから、その後の治療法を決定しましょう。

日本では現在、オンコビン、エトポシド、パラプラチンなどの抗がん剤を併用した、全身化学療法を受ける患者さんが多いです。化学療法で腫瘍が小さくなってから、レーザーで焼灼したり、冷凍凝固などでがん細胞の再発を防ぎます。

レーザー治療では、主に半導体レーザーと呼ばれる波長が長いレーザーが使用されます。これを使うことで、組織の浅いところのがん細胞だけではなく、深い部分のわずかながん細胞も、焼くことができます。

また、眼球の周辺に腫瘍があるときは、半導体レーザーでは焼きにくいので、冷凍凝固を行うことが多いです。冷凍凝固は、眼球の壁にマイナス60度以下に冷やした専用器具を当て、腫瘍を凍結させて、がん細胞を破壊する治療法です。

また、がん細胞が残っていたり、再発したとき小線源治療という局所的な放射線治療を行うこともあります。

この治療は、腫瘍の大きさが1㎝前後の場合に適用になります。大きさが約1㎝ある扁平な金属の板を、眼球の外側の強膜に縫い付けて、3~4日、放射線を局所的に当てる治療法です。使用する小線源の板は1個を用いる場合が多いです。

小線源治療による、2次がんの発生や、骨の発育不良は心配する必要はありません。

ただし、がんが網膜の後ろにある神経に近い場合、放射線網膜症を起こすこともありますので注意が必要です。

放射線網膜症になると、出血が起きたり、緑内障を招く場合があります。しかし、眼球を摘出するよりも良いと思いますので、考慮してみるのもよいかもしれません。

日本で現在、小線源治療を行っているのは、国立がん研究センター中央病院のみとなっております。

オンコビン=一般名ビンクリスチン エトポシド(一般名)=ベプシド/ラステット(商品名) パラプラチン=一般名カルボプラチン

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