唇に基底細胞がん。手術以外の方法は?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2011年1月
更新:2013年12月

  

ある時、上唇に黒い点みたいなものがあることに気づき、ほくろだと思って放置していたら、だんだん大きくなってきました。心配になって皮膚科に行った所、基底細胞がんと言われました。がんの大きさは1.5センチです。主治医の先生からは、手術でがんを取るといわれましたが、顔にメスを入れることは避けたいです。他に何かよい治療法はないでしょうか。

(大分県 女性 70歳)

A 根治を目指すのなら手術を

根治を目指すのであれば、主治医の先生がおっしゃったように、手術を受けることをお勧めします。切除範囲は、がんの病巣から5ミリ離す程度の切除となります。一方、どうしても顔にメスを入れたくないといった場合には、放射線をあてる治療方法もあります。ただ放射線治療の場合、根治性といった点からすると、どうしても手術より劣ってしまいます。基底細胞がんの場合、5パーセント以下ですが再発することがあり、もし放射線治療を行って再発した場合、手術は行いにくくなります。

もし手術で上唇を切除した場合、切除範囲が唇全体の3分の1以下であれば、そのまま縫い閉じる方法が原則です。一方、切除範囲がそれ以上になると、形成外科と協力して、下唇などから皮膚をもってくる皮弁術などを行い、再建するのが一般的となります。ですから、切除範囲が大きいなどで、もし整容面で受け入れがたいのであれば、放射線治療を選択するという方法もあり得ます。

ただし繰り返しになりますが、放射線治療を選択した場合、再発した際、手術が行いにくくなることをきちんと理解した上で、治療を選択するのがいいと思います。

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