肛門周囲の乳房外パジェット病。手術後の後遺症は?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2011年1月
更新:2013年12月

  

肛門のあたりがかゆく、インキンタムシだと思って放置していたら、じくじくとただれてきました。さすがにおかしいと、大学病院へ行ったところ、乳房外パジェット病だと診断されました。主治医からは手術をすると言われていますが、場所が場所だけに心配です。もし、手術をした場合、排尿や排便などに支障が出るといったことは起きないでしょうか。

(静岡県 男性 63歳)

A がんの部位によっては影響も

乳房外パジェット病は、股以外にもおへそやわきの下にできることがあるので、チェックする必要があります。また、ご相談者のように股にできている場合、まれに直腸がんが皮膚に出てきているケースもあるので、そこも確認する必要があります。

乳房外パジェット病だとわかったら、手術でがんの部分を取り切ることが基本になります。がんも取りきれて、肛門機能も温存できることが治療の目標ですが、ご相談者が心配されているように、手術によって、排尿や排便の機能が保たれないといった場合には、主治医との話し合いが必要です。

肛門に深いがんの浸潤があった場合、病巣部を完全に切除し、人工肛門を造設するなどの処置をおすすめします。一方、肛門に表皮内がんといわれる浅いがんがあるだけで、どうしても機能を残したい、人工肛門などをつけたくない、といった場合には、機能が温存できる範囲で手術し、その後経過観察するという方法もあります。ただし、この表皮内がんはゆくゆくは広がっていく可能性がありますので、2~3カ月毎に定期的に観察していくことが重要です。

一方、局所療法として放射線治療という選択肢もあります。ただし、根治性という観点からすれば、手術よりもやや劣るかと思います。またもし放射線治療を行って、再発した場合、機能を温存した手術はできません。以上のことを踏まえて、主治医とよく話し合い、治療を選ぶことをお勧めします。

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