目の下に基底細胞がん。手術以外の治療法は?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2010年8月
更新:2013年12月

  

イボのようなものが右目の下にでき、とくに痛くもかゆくもなかったため、放置していました。ところが、だんだん大きくなってきたため、皮膚科を受診しました。組織を採ってもらって、検査したところ、基底細胞がんと診断されました。がんの大きさは約1センチで、ほかに転移はしていないと言われています。治療は手術が望ましいようですが、糖尿病の持病があります。数年前に、ほかの部位の手術を受けた際、傷がなかなか治らず大変だったこともあって、手術以外の治療を希望しています。放射線治療や凍結療法という治療法もあると、主治医はおっしゃいます。また、インターネットの情報で外用薬や光線での治療もあることを知りました。治癒率は治療法によって差がありますか。どの治療がよいでしょうか。

(茨城県 男性 65歳)

A 血糖をコントロールすれば手術は問題ない

「転移はしていない」とお聞きになったようですが、基底細胞がんは通常、転移しません。

転移しないがんであることもあり、基底細胞がんは手術でがんをしっかり切除すれば、かなり高い確率で治ります。そのため、一般的には、手術による治療が行われます。

基底細胞がんで切除する範囲はそれほど大きくありません。がんから数ミリ程度大きめの範囲を切除します。

目の下の場合は、手術後、目が閉じにくかったり、下のまぶたが裏返ったりするなどの問題が生じることがあります。しかし、局所皮弁術などの方法で手術すれば、こうしたこともかなり防ぐことができます。

手術以外では、放射線治療が選択肢の1つとして挙げられます。しかし、目に近いことを考えると、白内障などの副作用が起こりえますし、場合によっては、失明のリスクもあります。

凍結療法、光線療法、外用薬治療の治癒率はいずれも手術に劣り、一般的ではありません。

糖尿病のために手術を希望されていないようですが、手術の際、血糖をしっかりコントロールするなどの対策をとれば、通常は問題ありません。手術が困難であると判断された場合や、どうしても手術を希望しない場合は、放射線治療の専門医に相談されるとよいでしょう。

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