メラノーマの末端黒子型黒色腫。治療法を教えてほしい
右足の裏に、黒いシミを見つけました。気になり始めて、病院の皮膚科で診てもらったところ、メラノーマ(悪性黒色腫)と言われました。メラノーマの末端黒子型黒色腫というタイプで、進行しているとの説明を受けました。私のようなタイプのメラノーマの特徴と適切な治療法を教えてください。
(神奈川県 女性 62歳)
A 画像検査で明らかな遠隔転移がない場合は手術が第一
手足の裏にできたメラノーマは、近年普及したダーモスコピーと呼ばれる検査法によって、より確実な診断ができるようになりました。
ダーモスコピーとは、ゼリーや特殊な光源で光の乱反射を防ぎ、皮膚表面を特殊な拡大鏡で観察する検査法です。最終的な確定診断や末端黒子型黒色腫というタイプかどうかは、切除したあとの病理診断によって決まります。ただ、典型的なケースなら、見た目やこれまでの経過、そしてダーモスコピー検査により、切除前でも診断が可能なことがあります。
末端黒子型の特徴は、ご相談者のような足の裏や、手のひら、指先といった四肢末端にできること、日本人のメラノーマのなかでは最も多いことなどです。しかし、病型の分類は、必ずしも悪性度を反映しているわけではなく、治療するうえであまり大きな意味はありません。
また、進行については、原発巣が分厚いかどうか、所属リンパ節への転移があるかどうか、遠隔転移があるかどうかなど、すべてを評価してみないと判断できません。ですから、皮膚病変を見ただけで進行していると言われたのであれば、おそらく原発巣が分厚いという意味だったのかもしれません。
治療法については、画像検査をしたうえで明らかな遠隔転移がない場合には、手術が第一です。手術には、原発巣の切除と、リンパ節を調べる手術の2つがあります。
原発巣の切除は、メラノーマがあると見た目でわかるところから1~2センチほど離した範囲をくり抜くようにします。切除した場所が足の裏なら、通常そのまま縫い閉じることはできませんので、植皮をして傷をふさぎます。皮膚は下腹部などの傷が目立たないところから採取するのが一般的ですが、原発巣が親指の付け根やかかとなど体重がかかる部位の場合には、皮膚が厚い土踏まずから採取して植皮するといった工夫をすることもあります。
リンパ節について、触診や画像検査で転移の疑いが強い場合には、リンパ節を周囲の脂肪織ごと切除するリンパ節郭清といわれる手術をはじめから行います。
一方、触診や画像検査でリンパ節転移が疑われない場合でも、メラノーマの場合、2~3割の方では小さなリンパ節転移が隠れていると言われています。そこで、最もリンパ節転移の可能性が高いリンパ節(これをセンチネルリンパ節と呼びます)のみを取り出すセンチネル(見張り)リンパ節生検という手術が近年普及しました。病理診断の結果、センチネルリンパ節に転移があった場合には、やはりリンパ節郭清という手術を追加で行います。
なお、センチネルリンパ節生検はここ数年~10数年で普及した手術ですので、正確に実施するにはある程度の習熟が必要です。実施にあたっては、担当医とよくご相談することをおすすめします。