進行メラノーマに新しい治療法はあるか?

回答者:山崎 直也
国立がん研究センター中央病院 皮膚科医長
発行:2007年8月
更新:2013年12月

  

68歳の父のことでご相談です。足の裏に、黒いほくろが見つかりました。ある病院の皮膚科で、進行期のメラノーマと言われました。肝臓に数個の転移があるとのことです。手術はかなり難しいとの説明を受けています。化学療法や放射線治療など、新しい治療法はないのでしょうか。

(福島県 女性 38歳)

A 樹状細胞などを用いた免疫療法が注目

メラノーマの内臓転移で、頻度が1番高いのは肺への転移です。その次が肝臓への転移です。ご相談者のような肝転移には、原則として、肝切除はしません。全身的化学療法などを行います。

眼にできたメラノーマが肝転移した場合には、シスプラチン(商品名ブリプラチンまたはランダ)による肝動注化学療法と、肝動脈塞栓術の有効性がわかっています。こうしたことから、ご相談者のような皮膚のメラノーマから肝転移したケースにも肝動注化学療法や、肝動脈塞栓術を行うことがあります。症状の緩和には効果的だと思います。このほかの化学療法は、あまり効果的ではないようです。

また、肝転移には、ラジオ波焼灼療法や、エタノール注入療法などもあります。これらの治療法も選択肢の1つとして考えられます。

さらに、新しい治療法として、樹状細胞などを用いた免疫療法もあります。メラノーマには、免疫療法が効きやすいといわれています。ただし、現状では、生存率の明らかな改善をもたらすことは確認されていません。臨床試験を行っている施設もあります。こうした臨床試験に参加して受けるのも1つの方法です。

なお、足のほくろが大きくなって歩行障害を起こすようでしたら、切除して歩きやすくすることが大切だと思います。この切除は、歩行を改善して、日常生活を向上するために行います。メラノーマの治癒を目的にしたものではありません。

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